働け、魔法少女！ (ページ48)

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プラントページ48

「……それで？プラントに来たからには用事が有るんだろ、さっさと行ってくれ。僕は忙しい」

「あ、………そうでした。その、ぶつかってしまい、すみませんでした！」

私が頭を下げて平謝りすると、私より背の低いその少年は溜息をついて手をひらひらと振り、背を向けた。

「良いよ、許そう。じゃあね、ヒーローさん」

背中の純白の翼から羽が数枚舞う。

その子は何処かへさっさと歩いて行ってしまった。

……うーん、つんつんしてるけど良い子だったなぁ。これでもうちょっと愛想が良かったら完璧だよね？誰様だよって感じだけど。ヒューと似てるからなんとなく気安くなっちゃうや、

そういえば、その当人の白猫は何処へ。

周囲をキョロキョロ見渡してもそれらしい影はない。

「え、……嘘、置いていかれた………？」

それともポータルを抜ける時にはぐれたか。

何方にせよ、早急に合流しなくては心細いし、何より帰れなくなってしまう。

……えーっと、食堂がこっちで、武道場がこっち……あ、お腹空いたなぁ、いっぱい叫んだから。確か、ヒーローはお金無くても食べられたよね？

夕食前ではあるが、軽食をつまんでも良いかもしれないと思い立ち、壁の案内看板に表示された通り食堂の方向の通路を進む。

先程の看板によると、此処は管理区という区画らしく、ヒーローも使える図書館や武道場への渡り廊下、ヒーロー達を組織するトップの「運営さん」が居る部屋、資料室やコンピューター室、特別な"魔法"を持ったヒーロー達専用の部屋が立ち並ぶ場所のようだ。

プラント。

宇宙の何処かに浮かぶ、巨大なヒーロー専用公共施設。

ヒーロー達の作戦会議が行われるなど、本部とも言えるかもしれない。

主に管理区・居住区・生活区で構成されており、プラントに常駐するヒーローも少なくないんだとか。

……にしても、本部が宇宙とか規模がでかすぎるでしょ。

ヒーローという存在の摩訶不思議さは今に始まったことではないが、始めのうちは逐一度肝を抜かれて呆然としていたものだ。

考えても見て欲しい。

ある日いきなり白い羽の生えた子猫がやってきて、

その猫は喋れて、

しかも私にヒーローになる素質があるだのどうだのと宣う。

胡散臭いことこの上ないではないか。