月夜に眠る双子の話

これから続く幸せ ページ50

どうして？

そして、さっきから私はなんだか懐かしい気持ちになってる｡


しかも、前にも体験したことがある気がするんだ。


これは・・・大分前に､短い間だけどあった。









そうだ！！

私は大分前に砂原と付き合ってこんな気持ちになったんだ。


そして、それが上杉君と同じ気持ちになる・・・ってことは､



「好きな人・・・いるかな。」




私の好きな、大切な人は・・・上杉君なんだ。

　
私が好きな人がいるって言ったとたんに上杉君は悲しそうな顔になった。

え、私また変なことしちゃったかな。


「そいつ、誰だよ。」

本人の前ではさすがに言えな・・・え？


私は、上杉君に二の腕を掴まれて、引き寄せられた。


そして、私の背中に手を回したんだ。


私､上杉君に抱きしめられてる！


「う、上杉、く、ん？」

「立花・・・」

絞り出すような声を出して言った｡



「立花！・・・・・・好きだ！」

へ？

上杉君､今なんて言っ、た？


「上杉君、私のことが本当に好きなの・・・？」


と､私が聞くと上杉君は､

「ああ、そうだよ！」


って言ったんだ。


私､私は・・・

「私､実は中学の時から上杉君は仲間として､運命の赤い糸で繋がっていると思っているんだ。」


中学の時からずっと言いたくて、言えなかったこと｡

そして、今からそれを上杉君に伝えるんだ・・・！


「私の彩っていう字は上杉君の杉の字を抜いたら、ツとノしか残らない。

だから私はずっと仲間として運命の赤い糸で繋がっているって思っているんだ。」


そう言うと、上杉君は少し傷ついた表情になった。


「でも私、ついさっき気付いたんだ。上杉君が好きな人はいるかって聞いたとき、

私はどうしても上杉君の顔しか思い浮かばなかった。」


すると、上杉君は顔を上げた。

「私の好きで、大切な人は今､目の前にいて私を見ていて、」

そして私は色々な表情を思い浮かべた。

「冷たそうに見えて、実は優しいくて、ケンカも多くて・・・」


私が好きなのは、

「私の好きな人は・・・


上杉君です。」

と､私が言ったとたんにまた、上杉君に抱き締められた。


すると、とても幸せな気持ちになった。

きっとこれは､これからずっと続く幸せ・・・だよねっ！


ー後日ー

私はお兄ちゃんに呼び出された。

家に行くとお兄ちゃんは今度の宝の説明をした。


今宵も私達は月を背に宝を盗む。

今までずっと眠っていた私達の話｡


今からこの月夜に眠る双子の話が動き出す。

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