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まだその感情は芽生えていないのは気づいていた。――だからこそ意識をするきっかけを言ってしまおうと彼は思った。
「わ〜、嬉しいめう〜!俺達も2人の事好きやからね♡」
「そっか、好いてくれるなら嬉しいな」
「なら良かっためう!でも、2人が思ってるより皆好きって思っとるからな?」
「思っているより、ですか?」
「ふふ、うん」
発した後に、想像通り二人は揃って首を傾げていて。そして案の定「思っているよりとは、どういう意味でなのか」と考えている表情もしていてオスマンはつい笑いをこぼす。
「何だよぉ」
「やって、何思ってるんかわかりやすいんやもん。ま、その答えは俺が言うよりも2人が見つけたら一番ええって思うから」
言葉を包んだのは答えをそのまま出してしまってもつまらないから。加えて、突然自分達の殆どが2人に恋をしている・しているかもしれないと言っても冗談かと一蹴されてしまうだろう。だからこそ、自分達の恋愛感情を考える事も、感じる事も2人の"心"に委ねて気付かせるのが1番だとオスマンは考えた。
「ん〜……。よくわかんねぇけど、わかった」
「いつか、答えはわかるんでしょうか」
「きっとな。……それが見つかった時、2人がどう思うか楽しみにしてるな」
ニコリ、と二人に柔らかい笑みを浮かべれば新たな菓子――貝殻型のマドレーヌが2つずつ乗った皿をそれぞれに差し出される。受け取れば、食べる様に促され一口齧ればふんわりとした食感とバターの優しい味が口に広がる。その味が気に入ったのか、Aとナグモは速度は違うが夢中で口に運び始める。その様子をオスマン達は穏やかに見守っていた。
「A、ナグモ。また今度、お茶会の時間出来たら来てほしいめう」
「むぐ……。んっ、勿論。色んな菓子食えるし、そうしながら話するのも楽しいしな」
「お邪魔でなければ、ぜひ。その時は何か気に入ったお菓子を見つけたら、持っていきますよ」
「やっためう〜!オプロイテ、また予定調整頼んだわ!」
「畏まりました。……ですが、暫くは詰まってますのでご容赦をお願いしますね」
「うぇ〜……」
「頑張ってくれオスマン」
「グルッペンお前もやからな???」
トントンが睨みを利かせれば、この後の残った仕事を思い出してしまう。
「トントンさん、ど〜にかなりませんかね???」
「あかんよ」
無慈悲な言葉に、グルッペンは悲しい目をしながら新たなケーキを噛み締めた。
こうして、初めてのお茶会は幕を閉じた。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
