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「甘いもんも良いなぁ。こんなにあるの見たの、歓迎会以来か?」
そう言いながらAはフルーツタルトを幸せそうに頬張る。W国にこの身を置いてからは、2人は食事も楽しみの一つになっている。
「ほら、こっちも食べ。この買って来てもらったパイも美味しいんよ」
「ん、ありがと。ナグモも食べるか?」
「うん。すいません、ぼくの分もお願いします」
「は〜い」
「俺の分も取ってくれ」
「近いんやからグルッペンは自分でやってや」
「オスマンのケチんぼ」
仕方なく自分で取り子供の様に少しむくれた様子でパイを食べたが、口に合ったのか食べ続けていればそれは徐々に和らいでいた。隣に座っているナグモはそれを見て、以前夜中に食べていた事を思い出し甘い物が好きなのだと認識する。
「(これがギャップ、って言うのかなぁ)」
W国の
「何だ、同じパイだと思うが」
自分の分は流石にやらないぞ、と言う様にそう言えばナグモは思わず首を振る。
「ごめんなさい、ついグルッペンさんを見てしまっていて」
「何故だ?」
素朴な疑問として聞き返され、少しどう説明したら良いかと考える。
「えっ、と……。グルッペンさん、他の皆さんもですけど。色々と表情とかが変わったりしてて……。見てるのが楽しいなぁって」
言い終われば、彼はキョトンとした顔で見ていた。失礼な事を発言したと思い、慌て始めてしまう。
「へ、変な事言って、ごめんなさいっ!あの、ええと、馬鹿にしてるつもりじゃなくて、そのあのっ」
「……ク、フフ、落ち着け。そうか、楽しいか。因みにAはどう思っている?」
「んぇ?皆の事?」
話半分で聞いていたAは考えながらケーキをパクパクと口に運び一つ食べ終えれば、それに答える。
「考えたけど、ナグモと一緒だな。個性的で、強くて面白くて飽きない位楽しいって思う。あ、あとは私等に色んな事教えてくれたり、連れてってくれたりしてくれるから退屈させてくんないな〜」
そう、Aは無邪気に笑いながら答えた。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
