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「コイツが外道丸、俺の愛馬」
「わあっ。こんにちは、外道丸さん」
ナグモが目を輝かせながら挨拶をすれば返事をする様にブルル……、と短く鳴く。
「ははっ、外道丸返事してくれたな。それにしても、毛並みすっげー綺麗。可愛がってるんだなぁ」
「勿論、此処の馬は俺が主に毎日ブラッシングしてるからな。2人とも触ってみるか?」
頷けば彼に馬の触り方を教えられ、その手順を踏んで触れてみれば気持ち良さそうに目を伏せている。
「おー、気持ち良さそうにしてんなぁ……」
「よしよし……」
「外道丸は2人の事気に入ったみたいだな。なら折角だし乗馬少し教えるか。マンちゃんとの約束まで、まだ時間あんだろ」
乗馬と聞いて2人は揃って目を輝かせた。バイク然り、乗れたらカッコいいモノの１つだからだ。乗りたいと言えば快く彼は準備を進める。
「ナグモ、先に良いぞ」
「え?」
「すげぇ乗りたそうな顔してんだもん」
「それは姉さんもでしょ。姉さんが先でも良いんだよ」
「えー、私はナグモに先に楽しんでほしいし……」
「もう、大丈夫だよ。姉さんはいつもぼく優先なんだから、たまにはって事で」
困った様に笑えば、それに甘えて先に乗らせてもらう事にした。恐らく断ってもナグモは頑なに譲らないだろう。装備をしっかりと身に着け、ひとらんらんに支えてもらいながらゆっくりと外道丸の背に跨る。
「わ、乗れた……」
高所にいる事は戦場で多々あった。それよりずっと低く、そしてそれと全く違った視界の高い景色が彼女の視界に広がる。ひとらんらんに手綱を引いてもらいながら、ゆっくりと外道丸は馬場内で歩を進めて行く。あまり揺れは無く緩やかに一周を歩けば交代をして、また一周をすれば短いが乗馬が終わる。そんな楽しい時間はあっという間で、既にオスマンとの約束の時間が近づいていた。
「じゃ、マンちゃんに宜しく。また今度来てくれよ」
「ありがとうございます、また時間がある時に来ます」
「なあ、次来た時はもっと乗り方教えてくれよ。次は走るのとかやってみたい」
「お、良いぞ」
「やった、また約束だからな!」
彼に向けて、嬉しそうに頬を紅く染めてながら彼女は笑えばナグモと共にオスマンが待っている部屋に向かった。
「……あ゛ー、反則だろ。あの顔も……」
マスクの下は熱が集まり、紅くなっていて。その様子を彼の愛馬は不思議そうに見ていた。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
