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……それより2時間程前。
「ん゛わ゛ぁ゛ーーっっ!!助けてくださぁーい!!」
「ナグモーー!!」
「滅茶苦茶囲まれてるﾌﾌﾌｯ」
「見てないで助けるの手伝えひとらーん!!」
……ナグモは鶏に囲まれていた。ひとらんらんが飼育している動物達の見学に来ていて餌やりもさせてもらえる事となりナグモが鶏の所に餌が入ったバケツを持ちながら入ると食欲に満ちた鶏達に囲まれて現在に至っている。何とか助けようとしているAだったが、足元に鶏が敷き詰められた様になっているので下手に動けない。その様子がおかしくあるが仕方ないとクツクツ笑いながらひとらんらんはナグモの助けに向かう。別のバケツに餌を入れ、入れ物に入れてやればそちらに気がついた鶏達が向かい始めナグモの元から去って行く。
「ほら、もう大丈夫だろ」
「ゔう〜……、ひとらんらんさん〜……っっっ」
余程怖かったのかナグモはひとらんらんに思わず抱きつく。一瞬硬直するが意識している事を気づかれない様、気を取り直して声をかける。
「戦場より怖くはないだろ?」
「怖いの種類が違うんですよぉ……」
「鶏、嫌いになっちゃったか?」
「なってない、です。まだ、ちょっと怖いですけど……」
「なら良かった。よし、あとこっちの野菜を2人で鶏達にあげてくれ」
宥める様に背を優しく叩いてやれば、ふにゃと笑った顔を彼に見せる。それにドキリとするが紅い顔はマスクのおかげで見られなかった様だ。気を取り直して渡された刻まれた野菜を2人で入れ物に入れれば、それも餌と共に鶏達が啄み始める｡2人はその様子をしゃがみながら見ていた。
「よく食べんなぁ、そんなに美味いのか?」
「Aも食ってみる?」
「…………流石に止めとこ」
「……姉さん、さっきの間に食べようって思ってた???」
「冗談だぞ???」
「食わねぇよっ!!!」
ガルルと威嚇する彼女を楽しそうにひとらんらん達は笑っていた。鶏小屋を後にすれば、馬小屋の方に案内される。馬小屋には数頭の馬がおり、彼等が来た事に反応を示している。一頭の毛色が茶色で左側に白色の毛色も入っている馬の前に止まり、それに気づいた馬は前のめりになる様に顔を出す。ひとらんらんはその馬に声をゆっくりかけてから首辺りを優しく撫で始めれば、馬は返事をする様に鼻を鳴らす。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
