110 ページ23
「ほんま不思議やなぁ。見た目は俺より腕細いのに、あんな簡単に重たいもん持てるの」
「んはは、だろ?まあセーブ出来てるから日常には困んないし、自分も鍛えてもっと不用意に力出過ぎない様にも出来てるし。何より、筋力あるから日常でも戦いでも結構役に立つじゃん」
人では無い部分を気にしていないと言う様に明るくケラケラと笑いながらAは話す。事故が起こりかけたと言うきっかけはあったがXX国にいたままでは思える事すら出来なかった、人と違う箇所としてではなく役に立つ長所と捉えているからだ。
「ナグモも私みたいな力持ち目指せよ〜?」
「ね、姉さんは越えられないかもだけど頑張るよ。……なので、ロボロさん。今後も宜しくお願いします!」
「おー、任せといてな」
ロボロは意気込みを見せたナグモの頭に何気なく手を伸ばし、優しく撫でる。暫く撫でていれば、ナグモはぱちくりとロボロを見つめる。視線を受けた瞬間に、軽々しく頭を撫でてしまったと思い珍しく慌てる。
「す、すまん?!つい撫でたくなっ、いや何言っとんねや俺!?」
これで嫌がられたり引かれればショックであり、鬱やシャオロン辺りから茶化されるだろうとグルグル考えていればナグモが口を開く。
「……撫でられるの、好きなので大丈夫です。その、寧ろもっと撫でてほしい、ですし」
「へ、」
そう発した彼の表情は嬉し恥ずかしそうにしていた。嫌ではなかった事の安堵と、愛しいと言う感情が染み渡る感覚がする。ソロソロとゆっくりと撫で続ければ、ふにゃりと笑みを浮かべる。
「(かっ、わぁ……)」
面布の下で蕩けた表情をしていれば視線を感じる。その先を見ればAで、無意識か「良いなぁ」と言葉を洩らしていた。
「……Aも来ぃ」
「!」
ぱぁっと嬉しそうな表情を見せればロボロに近づく。Aが頭を少し下げれば、彼の手が頭を撫でた。彼女も愛らしく、髪もナグモと同じくふわふわとして触り心地が良いと感じた。
「へへ……」
「Aも好きなん?」
「ん、好き。気持ち良いから、いっぱい撫でてほしい。な、ナグモ」
「うん、凄く心地良くて……」
「そっかぁ。……2人とも、その事せめて俺等の前以外には言わんといてな。絶対やぞ」
2人の愛らしい表情は外に見せたくないと思い釘を刺す様に念押しに言う。その意図は理解出来なかったが、2人は首を傾げながらも素直に了承した。暫くロボロは此処ぞとばかりに2人を撫で続けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
