109 ページ22
「……以上で本日の訓練は終了だ。戻ってゆっくり体を休めてくれ、解散!」
Aが号令をかければ、兵達は解散していく。中には戻る前に彼女にアドバイス聞きに行く者もいて、それに対しても1人1人に対応する。対敵に対しどの様に向かって行けば良いか、補う部分は何処か良いかなど様々だ。こうした指導の仕事も増えたが動く事が一番好きなAにとっては肌に馴染んでいた。……スパルタクスに言われている苦手な報告書はあるが。
「(今日は早め風呂入って書いた報告書まとめて寝るかぁ)」
くぁ、と大きな欠伸をしながら部屋に戻ろうとすれば、トレーニングルームに明かりがついている事に気づく。好奇心で覗いてみれば、ナグモがロボロと共にトレーニングをしているのがわかった。
「よぉ、ナグモ。ロボロ」
「あ、姉さん」
「おお、Aもトレーニングか?」
「いんや、覗いたら2人いたからさ。此処でもやってるって言うのは聞いてけど」
ナグモは時間のある時はトレーニングルームを使い、或いは部屋で出来るトレーニングを継続していた。
「最初の頃より体力しっかりつき始めたんだよ」
「やっぱりか、力入ってきたもんなぁ」
「えへへ……。此処にいる時、よく見てくれるからロボロさんのおかげですね」
「いやいや、ナグモくん毎日しっかりやっとるから」
そう言いつつも、好いている相手に感謝されたからか照れくさそうに謙遜する。
「訓練見るようになったからアドバイスにも出来そうだし、私もやり始めよっかなぁ」
「姉さん鍛えたら今以上力持ちになるんじゃ……?」
「いやどうだろ???」
「Aは力凄いもんなぁ。せや、実際にどんなもんか見せてもらってもええ?」
「私は良いけど、どうすりゃ良い?」
「そこにダンベルとかベンチプレス用のバーベルあるやろ。好きなだけ使ってええで」
指差した場所には、様々な重さがあるダンベルやバーベルに付けるプレートが置いてある。そこに近づき暫く物色していれば、片手でプレートの一枚を軽々と軽い皿を見る様に持って見ている。それは一般的なプレートの最大重量である20kgの物だった。
「重ないん?」
「これくらいなら全然」
「はえ〜……。重いの持たんでも、それだけで十分見た目より筋力凄いのわかるわ。腕見てもええ?」
「んー」
プレートを元の位置に戻し、ロボロの元に近づけば腕を出す。腕は少女の様に細く白く、先程まで軽々と重い物を持っていたとは思えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
