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この日。打撃音、床を走る音、様々な音が室内に響き渡っていた。Aとナグモが互いを相手にし、戦闘訓練を行っているからだ。距離を一度とればナグモが室内訓練場を駆け、加速を活かしAを翻弄しようとする。彼女は追わず、ただその場に佇んでいるだけだ。やがて、ナグモが間髪入れずAとの距離を一気に詰める。
「よっ」
「っ!」
軽々とナグモが持っていた木で出来たナイフを木刀でいなし、その攻撃を受け流す。着地したナグモは、体制を直せばアドバイスを貰う為Aの下に向かう。
「もう少し加速が必要かな」
「それよかフェイントだな。真っ直ぐに攻撃しようとするだけじゃ、相手によっちゃ翻弄してもさっきみたいに見切られると思うし」
そんな会話をしていれば、訓練場のドアが開かれる。誰が来たかと思えば片手を上げ笑顔を見せながらコネシマが「よお!」と顔を出していた。
「今入ってええか?」
「おー、丁度訓練止めて話し合ってたから大丈夫だ」
彼が入れば、それに続く様にもう1人男が入る。背はコネシマより少し大きく、同じ金の髪色をしていて赤色の瞳を持っていた。
「……後ろの誰?」
「俺直属の部下、スパルタクスや。まだ会ってなかったやろ?帰ったらすぐ挨拶してもらおう思ってたんやけど、その後色々立て込んでな。ほれ、話してた新しく入った2人や。挨拶しい」
促されれば2人の前にスパルタクスは立てば、彼の視線が自然と下を向く。それは2人を見定める様だった。
「……スパルタクスだ」
「私はAだ。宜しく」
「ぼくはナグモです。宜しくお願いします」
手を差し出したが一瞥されたのみで握手されず、2人は顔を見合わせる。気難しそうだと判断していれば、彼は口を開く。
「Aと言ったか。コネシマ様に馴れ馴れしい様だが」
「あ?」
「上官であれば敬語であるのが常識だろう。それに、他の兵士に示しがつかない」
「そうだけど、一回聞いてみたけど良いって言われたし」
「甘すぎでは?」
「ええねんええねん、寧ろA以外が固すぎるんやって」
「それ私が砕けすぎって事じゃんかよぉ」
「ともかく」と区切ればズイとAに近づく。
「礼儀を弁えた方が良い」
「外でTPOは弁えてるつもりだけど」
「此処でもだ」
「良いって言われてんだから良いだろが」
2人の間で火花が散る。止めるにも間に入り辛くナグモはオロオロとしていればコネシマが入る。
「よし、決闘で決めようや!」
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
