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「ナグモ、だいじょぶだって」
「ほれ、チーノ」
「「う……」」
互いに若干気まずそうにA、ショッピの後ろにいる。普通に過ごしていたら仕事で顔を合わせる機会がいつになるかわからないので、その日の内に会わせる事にした。
「……ほんま、ごめんな。急に触ろうとして」
「いえ、あの時本当にビックリしちゃっただけで。過剰に反応しちゃって、つい、反射的に逃げちゃって。ごめんなさい……」
「俺からやったし、気にせんでほしいわ……」
そこまで会話が進めば互いに下がり眉で困った表情になったまま、もじもじと見つめあっている。本人達は真面目なやりとりなのだが、揃ってその様子なのが少しおかしくなってしまいAとショッピから笑い声が溢れていた。
「2人とも何わろてんねぇん……」
「ふふ、2人とも何か似とるから、へへへっ」
「ん、ふふっ、なあ?」
「笑わないでよぉ。……ん゛ふぅ」
思わずつられてナグモも奇妙な声で笑ってしまい、それを聞いてチーノは「ん゛っっっ」と吹き出してしまった。数秒の沈黙の後、揃って笑い出してしまえば空気は先程までの静かさは消えて一気に和やかになってしまっていた。落ち着けば、互いに申し訳なく思っていた2人は自然と元の距離に戻った様だった。それにAは安堵するが、気になっていた事を口にする。
「にしても、ナグモは人に触られんの苦手になったか?」
「ううん。この間、話していたらコネシマさんに突然ぎゅ〜ってされながらあちこち触られたからかなぁ。そのせいで触られそうになるのドキドキしやすくなっちゃったのかも……」
「「は???」」
「こ、好奇心からだと思うので!悪気は無かったと思うので!」
明らかに「コネシマ何しとんねん」と言うオーラが2人から出ており、ナグモは慌てて宥めていた。
「(ぎゅーでドキドキかぁ)」
それを考えていれば思い出す。街に出かけた時に宥めてくれたゾムが抱きしめてくれて、鼓動が高鳴った事を。
「(あれって何だったんだろ)」
思い出せば、心が温かくも何処か切なく感じていた。首を捻って考えても答えは出ない。それが、彼等の気づいてほしい気持ちだとも。
「A、そろそろ戻るわ。チーノの仕事止まっとるし」
「嫌や〜〜今日はしたくな゛い゛〜〜っ」
駄々を捏ねるチーノはショッピに引きづられて行った。揃って2人に何気なく手を振って送れば、それに気づいたチーノは嬉しそうにへにゃ、と笑っていた。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
