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残された彼等は状況打破を考えた。この3人相手は自分達では確実に敵わない。象を目の前にした蟻の様な、そんな絶望的な状況だった。応戦すべきか、どうにか残っている者だけでも逃すか、なんとか逃げてみるか、或いは内通者の父親を人質に出し交渉をかけてみるか。だが、どれも上手くいく未来が見えない。最後の案にしても自分達がバレている時点で、内通者の彼女の性格からして人質の事も恐らく話していて、既に手を打っているだろう。……甘く見てしまっていた。ならば、どうするか。生憎､彼等は命を犠牲にしてまで抵抗するつもりはなかった。導き出した答えは――
「……投降、する」
「隊長、」
「俺達はこれで良い。……後の事は上に全部任せる」
彼等はその言葉に頷けば武器を捨て、両手を頭の後ろに回して膝を着く。
「2人共、拘束するで」
「はいよ」「はい」
「あとアンタ、隊長って言われてたな。残ってる奴等に声かけといてや、通信機あるやろ」
「……わかった」
ショッピに促され彼は通信し投降した事を、そして残った隊員に投降する様に指示を出す。
――こうして、この騒動は収束をした。
†††
「申し訳ございませんでした。そして、ありがとうございます。父も無事に保護していただいて、貴方がたも何ともなくて、本当に……っ、ぅ、ゔ……っ!」
「わあぁっ、泣くなって!」
「は、ハンカチを……!」
今回の騒動の中心にいたレイラは関わった者達に深く謝罪した。重い物ではないが処置は受ける事になっていて、勿論受け入れている。それでも、彼女の重荷が解けて2人は安堵した。レイラは兵達に誘導される前にもう一度深く礼をすれば、その場を去って行った。そして、マールが傍に歩み寄る。
「W国の皆様、ご協力ありがとうございました。勿論、レイラの事も。C国を代表してお礼を申し上げます」
王女直々に深々と礼をされれば、嬉し恥ずかしい様な感情が込み上がる。
「ナグモ、お前が見かけたおかげで防げたな」
「えっ、ぼくは偶々で……」
「謙遜するなって〜」
「わあぁっ。もう、姉さん!」
クシャクシャと頭を撫でる為、ナグモの髪はボサボサになってしまい頬を膨らませて怒るのをAは宥める。そんな仲睦まじいその様子を、オスマン達やマールは笑いながら見ていた。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
