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……王宮の一室に向かう様々な制服を纏った男達が十数名。Y国の部隊だった。王宮の使用人を装い、或いは外部の業者を装いながら一室へ向かって行く。内通者のメイドからの合図により攫う対象が睡眠状態に入ったと聞いたからだ。念入りに隠しカメラも仕掛ければ良かったと思うが、そこまでの時間は無かった。あまり動いてもC国内で目立つだけで、信用されている内通者がいて名前も広く知られていない同盟国であるXX国の一部侵略をした国相手でも問題は無い筈だった。されたのも運が良かっただけだろうと思っていた。内通者が上手く動いたのか他の使用人も通り道に見かけない。運ぶ為のカートも怪しまれる事はなかった。計画は恐ろしい程に順調。そして、部屋の前に辿り着く。先に着いた隊員達は聞き耳を立て、そしてドアを開く。……だが、そこには誰もいなかった。事前に入手した地図の通りに来た為、部屋に間違いは無い筈だった。
「(……いない?まさか、あの女。直前になって怖気付――)」
「――よォ、クソッタレ共」
瞬間、部隊員の体が飛ばされ壁に叩きつけられた。その場にいる者は何が起こったのか一瞬わからなかったが気づいた。――1人の女が現れて、掴んだと思えば
「ん〜……、まあ気絶したな。よしよし、加減出来てる」
ご機嫌そうに手を開いたり閉じたりしたがらAは笑った。物陰に潜み、入ったところを彼女が飛び出て先手を打ったからだ。
「な、何だ貴様は?!」
「はぁ〜?何だはお前等だろうが。美味い飯食べさせてもらってご機嫌だったのにさぁ。……なぁ、Y国の皆様方よ」
微かに目で動揺を見せる。「マジでビンゴじゃん、わかりやすっ」とAは思わず呟きつつも、戦闘態勢に入る。彼等は銃を構えるが、その後ろから何人かの短い悲鳴が聞こえた。
「動かないでください。……四肢や頭が落ちますよ」
「ふぅん、後ろ取られるなんて大した事ないなぁ」
ナグモがワイヤーで何人かを絡め、ショッピが斧の斧頭で同じく何人かを気絶させていた。彼等も厳しい訓練を受けた軍人で、それでも不意打ちであったとしてもたった3人の相手に僅か数分で部隊は半壊状態だった。
「どうする?おかわりいるなら呼ぶか?」
「まだいるんなら縄ついた方が早いで」
「どの道此方に何かあれば来ますよね」
――たった3人の筈なのに、威圧が彼等を襲った。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
