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P.0 エイトフットのジョー ページ27

それから俺はあいつが信じ続けた'魔女'を演じた

魔法を使ってアリエルの声を真似てあいつと毎日話した

アリエルにしたのは…これが一番あいつを怖がらせないと思ったから

魔女と信じていたこいつに俺の姿を見せたら逃げられると思ったからだ

話してみたら意外とペラペラ話しやがった

魔女のこと、家のこと、自分のこと…

突然変異で起きた髪の色と瞳の色のせいで家族から暴力を振られていること

兄は優しいけど恐ろしいこと

ここの魔女は髪が銀色と聞いて会えると思ってきていたということ

俺の姿が見えないことをいいことにたくさん話してきた

苦しいような話題でも自分のせいだと言って

『お前は馬鹿だね』

「ばかじゃない、…ちしきないだけ」

『ほー?』

「うまれかわったらいろんなことをしりたいんだ」

『…なら、お…私が教えてあげようか?』

「え!?ほんとう?」キラキラ

『っ、おぅ』

俺たちに向けられるはずのない顔に戸惑ったのを覚えてる

それからお前はいつも楽しそうに話を聞いていたな

なかなか笑わないお前をちょっとでも笑顔に出来たのが

…なんでかものすごく嬉しかったのを覚えてる

あいつらには、ジョーじゃないみたい。とか、ジョー幸せそうだね。なんて言われたな…

ヴィランズの俺がー…なんて言ってたけど

『(今思うと…楽しかったんだよな)』

必要とされる事の嬉しさ……俺が一番わかった気がしたから…

そして、俺は思うようになった

『(触れたい…ってな)』

その髪を、肌を…

キズの増える体に怒りを覚えだしたのはいつだろう

俺なら幸せにしてやるのにって何度思っただろう

でもその度に人間ではない事、悪役であることを思い知らされただろう

『(…あの時)』

'「なぁ、目をつぶって」'

'「なんで?」'

'「いいから!」'

'「んー…ん!」'

'「……」スッ…'

ふわっ

柔らかくて優しい髪だった

ボロボロでもわかる位で

「綺麗なのにな…陸の奴らはバカしかいねぇのか?」ボソッ

『えっ?』

思わず漏れた本音

嬉しそうに笑う顔が__しくて

それに漬け込んで初めて見たお前の顔

水面越しに手を伸ばして

『(触れ…たい…)』

深い蒼の瞳が美しくて

海の夜と月にあっていて

幼い傷だらけの顔に

ただ…触れたかった…

でも、途中で自分の手に気づいた

この姿では…触れることも会うことも出来ない

(…神様なんざ信じねぇけどよ)

この時だけは…

(恨むぞ…てめぇ…)

そしてこの日がお前の笑顔を見た最初で最後の日

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設定タグ:エイトフット , ヴィランズ , 手下   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りあん | 作成日時:2017年12月6日 23時

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