> 驚愕と、期待の ページ4
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あれからは特に表立った何かはなく、何とか一日を終えることが出来た。
学校から自転車を漕いで、約十五分の道のりをのんびりと通り過ぎていく。素肌を撫でるそよ風は、いくら気温が上がってると言えども、やや冷たさを含んでいた。
家に着いて、家の鍵を出そうとポケットに手を入れた。すると、手を出した途端に何かが地面に落ちて、慌てて拾った。
『結局、これ見るの忘れてたな』
自室に入って、下駄箱に入っていた例の紙を改めて見てみる。二つ折りにされたその紙は、何の変哲もないただの真っ白な紙で。恐らく、中に書かれていることが重要なんだろう。
ないとは信じたいが、自分にとって悪い内容だったらどうしようと、冷や汗が止まらない。
でも、もし大切な内容だったら、すぐ見てしまわないときっと困るだろう。
私は数分悩んだ後に、紙切れの端に指先をかけた。勇気を出して、その紙を広げる。
『えっ』
明日の放課後、話したいことがあります。良かったら、屋上に来てください。待っています。
これは、どういうことだろうか。
＿＿＿明日の放課後。屋上。話したいこと。
「なんと、あのイ・ミンホが一人の女子生徒に告白するんだってさ」
そんな、ユナの言った言葉を思い出して、胸がドクドクと脈打っていた。本当に、そうかもしれない。いや、期待したらいけない。でも。
これが、彼の噂に関わっていることだと言い切ることは出来ない。ただの諸連絡なんかかもしれないし、彼からの物じゃないかもしれない。
それでもただ、ほんの僅かな希望を捨てきれなくて、こんなことだけで舞い上がってしまう私は何と単純な女なんだろうか。
元々、私はこんな風に強く誰かを想ったことも、そもそも彼氏すら出来たことがなかった。
好きという気持ちは曖昧で、周りの皆は歳を重ねるごとにどんどん大人になっていくけれど、私にはよく分からなくて、男子と話すこともそこまで得意ではなかったし、苦手な部類だった。
でも、ミンホくんは、クラスの男子と違って、必要以上に踏み込んでくることはなかった。私が目を合わせることが出来なくても、私の不安や恐怖ごと受け止めて、優しく接してくれている気がしたのだ。
私はどちらかと言えば目立たないし、ミンホくんみたいに顔立ちが綺麗でもなんでもない、平凡な女子高生だ。
最初は確かに顔立ちが綺麗だと思っていた。でも、私がここまで想ってしまうのは、彼の内面、優しさに、どうしようもなく惹かれてしまっているからだった。
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作者名：雨雲 | 作成日時：2024年4月14日 19時
