イくんの、好きな人。 (ページ2)

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> 独占欲と貪欲な心ページ2

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「あのイ・ミンホが好きになる女子って、どんな子だろうね？普段からあんまり女子と絡んでる印象ないけど⋯そう考えると、Aって結構仲良い方じゃない？」

『うーーん、そうかなぁ⋯』

確かに、隣の席だからよく話すことはあるけれど、仲良いと言い切っていいんだろうか。私は決して悪くは無いと思っているが、何とも言えない気がした。

「＿＿もしかして、呼び出されるのはAだったりしてね？」

『ユナったら何言ってるの！⋯って、呼び出される？』

「なんか、金曜の放課後に、屋上でって話らしいわよ。」

『もうそんなに情報が出てるんだ。金曜日って言うと、明日の放課後⋯』

噂にしては回る速度が早すぎるくらいに、具体的な内容の噂が触れ回っているようだった。

その後には五分前のチャイムが鳴ったため、すぐにユナは席に戻っていってしまった。

＿＿もしかして、呼び出されるのはAだったりしてね？

そんな、ユナの言葉が今も私の頭の中をぐるぐると巡っていた。もしも、彼が告白する相手が私だったならば、どれほど嬉しいことなんだろうか。

だって、私だって彼のことを好ましく思っているから。最初は綺麗すぎる顔が少し怖く思えたけれど、隣の席になった今、彼の不器用な優しさが垣間見えて、好きにならずにはいられなかったのだ。

でも、それを明かせば彼は私を、普段から言い寄る女子たちと同類に見てしまって、今のような心地よい関係性が壊れてしまうと思ったのだ。

この時間を、他の誰にも取られたくなかった。

言わば、意気地無しな私のちっぽけな抵抗に過ぎない。悪く言えば、ただの狡くて汚い私の独占欲なんだけど。

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「＿＿おはよう」

『あっ⋯ミンホくん、おはよう』

ガタッ⋯という音で意識が戻されて。隣を見ると、ちょうど椅子に座った彼と目が合った。

今さっきまで彼のことを考えていたせいで、若干声が上擦ってしまったのだけど、バレただろうか。ドキドキする胸の内を誤魔化すように、指先をギュッと握りしめた。

「一限って何だっけ？」

『今日は数学だよ。宿題が出てたから、それも提出しなきゃいけないって』

「ヤー⋯ 一生のお願い。A、プリント見せて」

『また？⋯ふふっ、いいよ』

隙のないように見える彼は、よくこうして宿題を見せてくれと頼みこんでくる。また？なんて言いつつも、内心喜んでしまっている私は単純だ。

なぜなら、私からの了承を得ると同時にとても嬉しそうな笑顔を見せてくれるから。その顔が見たくて、彼からの何度聞いたかも分からない、一生のお願いを聞いてしまう。