泣きたい私と愛したい王子

セーラー服は心を隠す ページ3

Aside

中三。

まだ子供で入れる最後の歳。


大人になったら、何も無くなるなら


今しか夢は見れない。


大人しくしていれば


何も起こらないし、自分を保てる。



ころん「ねぇ、A。」



セミの音に混じってよく聞く声が私を呼んだ。


ころん、莉犬、るぅと、さとみ、ななもり、ジェル。


この中学校で出会ってなんやかんやで仲のいいヤツら。


『どしたの？』


中学校3年間同じクラスの彼らにも泣き顔を見せたことは無い。

常に笑顔だ。

笑ってれば印象もいいし、嫌われない。


見捨てられない。


ころん「最近顔色悪いよ？夏バテ？」


『そんなことないよ。悪いとしたら私お化けだから…ほーれほれ。』



幽霊のポーズをしてわざと冗談を言う。


ころん「お前幽霊なのに僕と喋れんの？」

莉犬「え！？A幽霊なの！？」

『冗談じゃん。』

ななもり「え！A死んじゃったの！？」

『生きてる。』


彼らのこの笑顔。

大好きなんだよね。


だから、ずっとそばにいたいから


泣けないんだ。


今も本当は、心が空っぽのようにも感じる。


すべての不安にも堪えて

理不尽なことにも黙って従った。

たくさんの友達か泣いては私は慰めた。


本当に泣けないまま三年経ってしまった。


るぅと「本当だ。顔色悪いですね。」

さとみ「ちゃんと寝てんの？」

『さとみより寝てるよ。ゲーマーじゃないからね。』


寝れてないよ。

不安で押しつぶされそうになって

明日もし泣いてしまったらどうしようなんて

考えていたら朝が来るんだ。

ジェル「Aは肌が白いから顔色悪く見えるだけちゃう？」

『あ、それかも。』

ころん「えぇ…本当？」

ころんはどこまでも心配してくれる。


でもさ


その心配が私を苦しめてるんだよ。

ずっと。

莉犬の暖かい優しさも

るぅとの気持ちい優しさも

ころんの果てしない優しさも

さとみの安心できる優しさも

なーくんの母のような優しさも

ジェルの守ってくれるような優しさも

全部全部



私を苦しめてるんだよ。


もう、いいから。


もう







失いたくないよ。

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