明るい子に話しかけられてボッチを回避したい ページ3
まず玄関で自分のクラスを確認。私は３組だった。親は私が別館に行く段階でもう入学式をする体育館の方へ行ってしまったので、特に知り合いもいない私は一人です。
まぁ迷子になることもなく、一年の教室のある４階まで階段で向かう。正直言うと運動がとても苦手なので、４階につく頃にはヘロヘロで、息も切れて死ぬかと思った。
３組の教室にはある程度人がいたが、皆中学からの知り合いらしく、グループができていた。そんなグループに首を突っ込むなんてしません。指定された席に座ると、目の前の席の子が振り返った。
「あ、前後だね。私は野田彩花。よろしくね」
「私は早川美波。よろしくね、野田さん」
「やだ、彩花って呼び捨てでいいよ」
「分かった、私も美波でいいよ」
友達なんて全然いなかったから、こういう子の存在が本当にありがたい。彩花は黒のショートヘアで、赤のインナーを入れていた。普通に似合ってる。
「美波は部活どうすんの？」
「私は部活推薦できたから、中学からそのまま吹奏楽部だよ」
「え、楽器吹けるの？かっこいいね！」
「彩花は？」
「私は部活推薦じゃないんだけど、中学からやってるし、バレー部かなって」
「バレーできるのもかっこいいね」
「ありがと！そんで、美波の楽器は何なの？」
「知ってるかな、ユーフォっていうんだけど」
彩花とのポンポン進んでいく会話の中で、いつもどおりの質問が出てきた途端、頭の中の吹奏楽スイッチが入りそうになった。吹奏楽スイッチとは、ユーフォについて語る準備みたいなものである。いつもどおり、解説するために口を開きかけた時。
「あ、知ってる知ってる。音めっちゃ綺麗なやつだよね」
「・・・え、知ってるの？」
「知ってるよー。中学の時の委員会が一緒だった先輩がユーフォやってたの」
「へぇ・・・」
「黒尾鉄朗先輩って言うんだけど」
「あ、知ってるわ」
あの黒尾先輩と知り合いなのか。
「あの先輩すごいよ。小学生の時からユーフォやってるって言ってた」
「え、そんなに！？」
「ね、高校でも続けてたんだ」
彩花は興味なさげにその一言でまとめた。多分黒尾先輩に興味がないのだと思う。ただ、１つだけ気になったので聞いてみることにした。
「あのさ、あの髪型って毎日セットしてるのかなって今日思ったんだけど」
「ああ、あれ？」
彩花はクスクスと笑って、教えてくれた。
「あれ、寝癖らしいよ」と。
入学式ってすること無いけど緊張する→←入学式前に部活推薦で入る人は別館１階に集まれとのこと
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作者名：リリアーネ | 作成日時：2022年2月6日 18時
