《肆》望むは金。 (ページ10)

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『…あっ、この土の中ですね』

獪岳さんを、鬼の気配の一等濃い場所まで案内する。
どうしますか？と尋ねようとして、信じられていないことを思い出した。

じゃあ、私がやればいいかな。

『起こしちゃっていいですか〜？いいですよねっ！えいっ！』

「っおい、」

グサリ。

「ギャア゛ア゛ァァァ゛ーーース！！！」

『うわ、目玉つついちゃった！ごめんねっ！』

獪岳さんの返答も聞かず、日輪刀を土の中に突き刺すと、
奇っ怪な叫びをあげながら鬼が飛び出してきた。土の中からドカンと。こんにちは。

せっかくお昼に奇襲をかけたのに、生い茂る木の所為で意味を為していない。
周囲に日向はなさそうだった。

「………っはあ！？！？」

そして、数秒遅れて驚愕の声。
ふふふっ、人を驚かせるのは好きだなあ。おもしろい。

『だから言ったじゃないですか！索敵得意ですって！！！』

「……クソッ、鴉が言ってたのはこういうことかよ！！」

『ええぇぇぇ！？先輩の鎹鴉、私についてなんか言ってたんですか！？』

「あぁ！強くはないが、妙な言動をする新人がいるからよく見張れってなぁ！」

驚かされるとムカつくタイプの人らしい。

獪岳さんは青筋を立てて、そう私と会話しながら、抜刀。鬼に斬りかかった。

ゴゥオ、と風を切る音。

『わ、ぁ……っ！！』

目にも止まらぬ一閃。雷鳴と、呼吸音。

「シイィィィ……」

『っ、』

獪岳さんの刀は、一瞬にして鬼の頸を刈り取った。

すごい、すごい……！

抜刀術じゃないから、今のは肆の型…だよね！それにしても速かった。壱の型と見紛うくらい。

さらさらと灰になっていく鬼も、自分の頸が飛んだことに気が付かないほどの速さ。

か、、、かあっこいいぃ……！

いいな、いいな、いいなぁっ！！！

あれくらい、私も強くなれたら。きっと、もっと。

『…………。』

「……………おい。鬼探知機」

『さ、、最悪の呼び方ですね！！？！』

「探知機だろ。他にも鬼がいるはずだ、探せ」

『っ、』

「30人喰ったにしちゃ、今のは弱すぎる。次だ。」

言い方は冷たい。表情も。

だけど、

……私の利用価値をわかってる人は、嫌いじゃない。
遠慮して頼ってくれないか、頼るまでもない人ばっかりで。

『任せてください！日没までに狩り尽くしましょうねっ！』

可愛らしい笑顔を作ってみせると、獪岳さんはまた嫌そうな顔をした。

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