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『……合同任務???』
「ソウダ。近頃、隊士ノ質トヤラガ問題デナ。」
『ふぅん?』
聞くところによると、若い隊士がよく死ぬうえ、命令違反なんかも横行してるらしい。
それで、私たちのような新米隊士には、先輩隊士を付けて任務に行かせよう、との決定がなされたこと。
……がんちゃんが謹慎処分を食らった理由が、今一度ハッキリしてきたわね。
その決まりが出来る前とはいえ、癸単独特攻させたのは普通にやばいじゃん……。
『…がんちゃん、私が相棒で良かったねぇ』
まあ、それはそれとして。
先輩とってことなら、失礼のないように気をつけなくちゃね。人脈、大切だし。
「カァ! コノ先デ、合流予定ダッ!」
がんちゃんが声を張り上げるけど、大丈夫。もう見えてるよ。
鬼殺隊の隊服、結構わかりやすいよね。
『こんにちはっ! お待たせしてしまい申し訳ありません』
「………」
人好きする笑みを浮かべて、私は隊服の男性に話しかけた。
深い黒の髪と、首に下げた勾玉の飾りが印象的。
眉間に皺を寄せるのは癖になってるのかしら、かなり深い溝が刻まれている。
……そして哀しいことに、考えていることまで手に取るようにわかってしまった。
「(ガキ……? しかも女か)」だ。隠す気もないんでしょうけど。
『階級辛、AAです! よろしくお願いします!!』
鋭い視線には気が付かないふりをして、笑顔で勢いよく頭を下げると、
その人は私の頭を数秒見下ろしてから「ふん、」と鼻を鳴らして、
私に背を向けた。
そして、かなりの早足で歩き出す。
『えっ、ええぇーっ!? 行っちゃうんですか、ああ確かに、困っている人がいると思えば急ぐに越したことはないんですけどね?!』
「……………」
『あああ〜っ待って!! せめてお名前だけでも〜!』
前方5mを行く歩みはどんどん速くなる。というかもう走っている。
置いていかれないように私も走るが、
え、これ本当に任務よね?! 一緒に向かっていると思っていいのよね?!!?
えーーん!! 無視はやめてよ!!!!!! 困るじゃん!!
一生懸命走るのに前方の滅の字はちっとも近くならない。
いくらなんでも速すぎだわ!? その癖頑張って走ってる感じがしないのが悔しい、
っていうか、
『…………う〜ん??』
あの走り方、どこかで見たような?
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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時