《肆》望むは金。 (ページ42)

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あのカナヲちゃんに、呼び止められて、別れの挨拶をされた。
それってもしかして、すっごくすっごく凄いことなのでは？！

“心が原動力”かぁ……言い得て妙かも…？
でもどちらかと言えば、炭治郎の言葉の力の方がすごいような…？

友だちじゃなかったら絶対炭治郎で一儲けしてたなぁ、なんて。
…冗談だよ。半分くらいは。

ふむふむ、と頷きながら屋敷の門に向かう。

んま。私は銅貨を投げて決めるのも悪くないと思うけどね？
天の神さまと運任せって、それはそれでわくわくするもの！

「ヒュウゥウウ……」

「シィィイイ……」

「カァァアア……」

『っ、すぅううう〜………………っ』

えいっ！！！

と、息を送り込んで、大きな瓢箪を破裂させた。
出発にはこれが必要らしい。初耳だよ。

でもさ、瓢箪破裂させるの、結構好きなんだよね！
ピキッ！パン！！うん、楽しい〜！！！

「「「やったあ〜！！」」」

と、喜んでいるなほちゃん達も微笑ましいし。
そんなに面白いならもう1回割ろうか？要らない？
あっそう……。

まあ何でもいいの！門出は晴れやかに！

何事も始めが肝心だよね！！

「皆さん、お達者で〜！！」

炭治郎と善逸くんの瞳に、涙が光る。伊之助の表情は猪頭で見えないけれど、きっと、感じているものは同じはず。

『っ行ってきまぁ〜すっ！！！！ありがとう〜っ！！大好きぃ〜！！』

世界がキラキラする。

お金じゃ買えないもの、いっぱい貰っちゃった。
みんな揃って手を振りながら、少しずつ、蝶屋敷が遠ざかっていく。

空は快晴。

目に浮かぶ涙を誤魔化すみたいに、眩しいそれを見上げて、
私たち5人の、久しぶりの任務が始まった。

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