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常中を会得するためにしている訓練と言えば、
走りこみだったり、括りつけた岩を持ち上げたり、あと、たまに組手をしたり。
組手は結構個性が出て面白い。
例えば、私と炭治郎の立ち回りは、お互いに“受け”を基本とするから勝負になりにくい、だとか。
伊之助の柔軟性によって思わぬところから奇襲をかけられたりだとか。
………ここでも手加減をする金髪のひとがいたり、だとか。
『っ、バレてるからね! 本気じゃないの!』
私を欺けると思わないでほしい。今の善逸くんなら、私に勝てるはずなんだけど?
『っ……わかった、こうしようよ善逸くん』
「っな、なに……?」
『もう1回やって。
勝った方の言うこと、なんでもひとつ聞くってことにしよう。』
「!?!? な、なんでも……!?」
人を本気にさせるのは、いつだって博打である。(諸説あり)
善逸くんは「なん、でも……」と小さくもう一度呟いた後、顔を真っ赤に染めて口元を押さえ、
目に見えるほど鼻息を荒らげはじめた。
『えぇ〜………常中とれてるよ……?』
「アッごめんなさいね!!?」
『………何想像してるのか知らないけど、ある程度の節度は持ってよね……』
それをしてくれるという信頼があるから、こんな条件も提示したんだけど。
見誤ったかな。
怪訝な顔をする私のお小言がちゃんと聞こえてるのかどうか、
善逸くんは赤面のまま、こくこく素早く頷いた。
ふふ、赤べこみたい。頭は金色だけどね。
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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時