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「一応弁明を聞いてほしいんだけどさ、」
『ぅ、……うん』
何故か第六感が警鐘を鳴らしたから、間が空いた返事になった。
善逸くん相手に出るなんて珍しい。何をしでかすつもりなんだろう?
「その、決してお化けだと思ったり、ましてや君のことを怖がってた訳ではなくてですね?」
『? うんうん、』
「……俺さ、前々からAちゃんのこと天女なんじゃって思ってて」
『はあ??????????』
頭でも打ったんですか??
「だってね!?! まず俺たちが出会った日のこと覚えてる!!?」
『最終選別の…?』
「そうッ!! 死ぬわって思ってあの山行ったのに、めちゃくちゃ可愛くて綺麗な子がさ! 平然と寝てるんだもん!!」
『そりゃ鬼なんか知らなかったしねぇ』
「そこで俺思ったんだよ、“天女は実在する!”」
何を言ってるんだろう、この人は。
『……善逸くん、走りこみで知性落っことしてきちゃった? 拾いに行く…?』
「いいや!! 間に合ってるよ!!!!!!」
私の方が間に合ってる。
なぁによ、この小っ恥ずかしい話。
「だって最終選別なのにさ、顔も音も安らかだし、肌白いし上等な着物着てるし、いい匂いするし、
睫毛長いし、唇も艶々で色っぽいし、手も脚も細いし、汚れとか怪我どころかささくれひとつないんだぜ!!?!?」
『え………ちょっと待って。っまさかとは思うけど、私のこと起こさないで見てたの??』
いくらなんでも詳しすぎじゃない?
見すぎでしょ。
っていうかいい匂いするって言った?
嗅いだの??? 眠ってる見知らぬ女の子を???
……そういえば、あの時の善逸くんってやけに興奮してて、近かったような…
『………ぅ、わ…………ごめんなさい。ちょっと、無理かも……。』
「ッア゚――――――ッ!!! こ゛め゛ん゛ッッッ!!!! マジでごめん許して!!!!!!
ああっいやだ! やめてよぉお!! そんな目で見ないでったらァァー!!」
『流石に擁護出来ないっていうか、うん、ごめんね、気持ち悪いです…』
「イィィィヤァァア―――――ッ!!!! 嘘だ、嘘だと言ってくれAちゃん! なんで嘘の音がしねえんだ聴き間違いか!!?!?!」
『善逸くんの耳は聴き間違いなんかしないって、自分でよく知ってるでしょ』
「く゛ふぉ゛ッッ」
トドメの一撃だったらしい。
善逸くんは例の如く顔をぐちゃぐちゃにして沈みこんだが、かける言葉を私は失っていた。
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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時