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157. ページ28




「一応弁明を聞いてほしいんだけどさ、」

『ぅ、……うん』


何故か第六感が警鐘を鳴らしたから、間が空いた返事になった。

善逸くん相手に出るなんて珍しい。何をしでかすつもりなんだろう?


「その、決してお化けだと思ったり、ましてや君のことを怖がってた訳ではなくてですね?」

『? うんうん、』

「……俺さ、前々からAちゃんのこと天女なんじゃって思ってて」

『はあ??????????』




頭でも打ったんですか??






「だってね!?! まず俺たちが出会った日のこと覚えてる!!?」

『最終選別の…?』

「そうッ!! 死ぬわって思ってあの山行ったのに、めちゃくちゃ可愛くて綺麗な子がさ! 平然と寝てるんだもん!!」

『そりゃ鬼なんか知らなかったしねぇ』

「そこで俺思ったんだよ、“天女は実在する!”」


何を言ってるんだろう、この人は。


『……善逸くん、走りこみで知性落っことしてきちゃった? 拾いに行く…?』

「いいや!! 間に合ってるよ!!!!!!」



私の方が間に合ってる。
なぁによ、この小っ恥ずかしい話。



「だって最終選別なのにさ、顔も音も安らかだし、肌白いし上等な着物着てるし、いい匂いするし、
睫毛長いし、唇も艶々で色っぽいし、手も脚も細いし、汚れとか怪我どころかささくれひとつないんだぜ!!?!?」


『え………ちょっと待って。っまさかとは思うけど、私のこと起こさないで見てたの??』




いくらなんでも詳しすぎじゃない?

見すぎでしょ。

っていうかいい匂いするって言った?
嗅いだの??? 眠ってる見知らぬ女の子を???

……そういえば、あの時の善逸くんってやけに興奮してて、近かったような…







『………ぅ、わ…………ごめんなさい。ちょっと、無理かも……。』



「ッア゚――――――ッ!!! こ゛め゛ん゛ッッッ!!!! マジでごめん許して!!!!!!
ああっいやだ! やめてよぉお!! そんな目で見ないでったらァァー!!」


『流石に擁護出来ないっていうか、うん、ごめんね、気持ち悪いです…』


「イィィィヤァァア―――――ッ!!!! 嘘だ、嘘だと言ってくれAちゃん! なんで嘘の音がしねえんだ聴き間違いか!!?!?!」


『善逸くんの耳は聴き間違いなんかしないって、自分でよく知ってるでしょ』


「く゛ふぉ゛ッッ」




トドメの一撃だったらしい。

善逸くんは例の如く顔をぐちゃぐちゃにして沈みこんだが、かける言葉を私は失っていた。




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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時

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