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『っていうか、善逸くんはこんな所で何してるの…? 訓練は?』

「……………あっ」


善逸くんの顔がサァ…と蒼くなる。おっと、これは。


「Aちゃんの音がして……つい、抜けてきちゃったぁ…」

『おばかっっっ!!!!!!』


きよちゃん達が見てたの、そういうことじゃん!?
サボるんじゃないわよ!!



「うぇぇぇごめんよAちゃあん…!」

『今すぐ戻ろうね! 私も行くから!!』

「えっ、Aちゃんもやるの? なんで??」

『それは、その……』

「??」

『…柔軟は不合格だから………』

「………ぷっ、くく…っ」

『!! い、いま笑ったでしょ!!!?』



2日ぶりの、勝手知ったる蝶屋敷。

ふたりで小競り合いをしながら、訓練場までぱたぱたと走る。

頬の傷について聞かれたけれど、適当に誤魔化した。
凶暴な猫だよ、黒猫。とっても人見知りのね。



『…ね、善逸くん。今日は夜中さ、お茶でもどうかな?』

「……いいよ。俺も話がしたい」

『ふふふ』


話をする、なんて言ってないのに。言いたいことは伝わってるらしい。
やっぱり善逸くんの隣が、いちばん安心する場所だなぁ、…なんて、絶対教えないけど。






「おかえりなさい、Aさん。約束通り、たくさん伸ばして解しますからね」

『う、あ、アオイちゃん…』

「私も協力します。」

『ひえぇ……』



にっこりと微笑むアオイちゃんに、思わず涙目になる。忘れていた。


アオイちゃんは怒らせちゃダメ。
少ししのぶさんに似ているところがあるからね。

柔軟は地道にコツコツと。

苦手って言うのは結局、嫌々続けて克服する他ない。
それも最近学んだことなんだ! 生きるってそういうことだよねっ!




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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時

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