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悪い方にしか考えが進まない。
曇った顔のまま俯いていると、善逸くんが間の抜けた声を出した。
「………いやそれ、普通はわかんないものだからね?」
『えっ、』
どういうことだってばよ。
「Aちゃんが何でもすぐわかっちゃうのが異常だからね…? いやこっわ……天才に加え無知って怖……」
『え、ぇ、あの! それはどういう…?』
「冷静に考えてさ。誰もがAちゃんみたいに一の行動で十わかったなら、世の中もっと便利になってると思わない???」
『ぅ、うぅん………。確かに?』
「…Aはいい加減、自分を過小評価するのをやめた方がいいな。」
『か、過大評価してるつもりなんですけどね!?』
私、自分は100点をとるのが当然だと思っているので!!
鬼殺から家事から容姿頭脳まで完璧に出来ていると思ってますよ!!!!!
炭治郎に言うと余計な台詞が返ってきそうだから言いませんけどね!!!!?!?
『……じゃあ、わからない時はどうしたらいいの?』
「今みたいに人に聞くか、実験を重ねるか、かな。
わからないことは悪いことじゃないよ、そうやって人は成長していくものだから。」
『………そっかあ。』
炭治郎の言葉は、不思議なくらいすとんと落ちてきた。
だいぶ世の中に馴染んできたと思ったけど、そうでもないらしい。
なんせ家出してからまだ1年も経っていないし、まだまだ知らないことはいっぱいだ。
伊之助の世間知らずを簡単に揶揄できない。
新しく知ったことを素直に受け取ったら、「えらいなあ」という言葉とともに、炭治郎が頭を撫でてくれた。
「…Aちゃんって、今までわからないことなかったの? 末恐ろしすぎない?」
『やだなあ。わからないことはたくさんあるよ、わからないことに悩んだのは今日がはじめてだっただけ』
「うっわ…………」
『何よ“うわぁ”って〜〜っ!!!!』
炭治郎に撫でられながら(ちなみに反対の手では、寄ってきた伊之助を撫でていた。なにあれすごい)、善逸くんと軽く喧嘩をする。
何よ、私だって君に思うところはあるんだからね!?
例えば何って言われたら、その、……上手くは言えませんけど。
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作者名:朝餉。 | 作成日時:2021年8月14日 17時