《肆》望むは金。 (ページ16)

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『ま、真逆本当にうら若き乙女の顔を殴るなんて！！！！！
信じられません！！最低！！！鬼！！！！！！この非道っっ！！！！！！』

「ッハ、なんとでも言え」

『〜ッどうするんですか！？この損失！価値！！幾らになると思ってるんですかぁあ〜！人の心とかあります！？！？』

「うるせぇ…………」

蝶屋敷に到着した瞬間。

目にも止まらぬ平手打ちが、私の右頬を襲った。
獪岳さんはかなり手加減をしていたらしいが、問題はそこじゃない！私の顔に(かすり)傷がついたことだよ！

「……おい、俺の腕を見てみろ」

『？？ …？赤くなってますね、野良犬にでも噛まれましたか？』

「さっきまでお前が掴んでた場所だこの怪力馬鹿女！！！！！！！」

『きゃああ〜〜っ！！』

いや〜その節はどうもすみません！えへへ！

とっても怖い顔をする獪岳さんに、わざと甲高い悲鳴をあげる。

すると、私が何をしようとしたかすぐに察したらしい。
獪岳さんは眉は釣り上げたままに、私から距離をとった。

『………ふふん、私は可愛いですからね！嘘泣きをすると絶対に味方が現れます！』

「クソ害悪女め……」

『さっきから罵倒の語彙が酷すぎませんか？！』

流石にお外ではやったことないですよ、兄妹喧嘩でならいっぱい使いましたけど。

誰であろうと、私に危害を加えるつもりなら
即知らない人に可愛い顔で泣きついて悪者にしてやるんだからな！

『いや〜、すみませんね。可愛くて♡』

「はやく死んだ方がいいぞ、お前」

『率直な罵倒すぎます！！！！！！』

新たな出会いと、運命の予感。波乱の幕開け。

2日ぶりに帰ってきた蝶屋敷は、いつもと少し違う香りがした。

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