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蜘蛛_人生万事塞翁が虎 ページ2

____一杯の茶漬け





梅干しに刻み海苔

それに夕餉の残りの鶏肉____

それを熱い白湯に浮かべ
塩昆布と一緒にかきこむ







旨かったなぁ
孤児院の台所で人目を忍んで食った夜の茶漬け

ていうか____




腹減って死ぬ_______


僕の名前は敦
____故あって餓死寸前です



敦「(孤児院を追い出され、食べるもの、寝るところもなく
かといって盗みをはたらく度胸もなく
こんな処まで来てしまった…)」

生きるには盗むか奪うしかない。
けど………

孤児院で何度も言われてきた罵声の言葉が僕の頭の中で響く

敦「(五月蝿い、僕は死なないぞ…。

生きる為だ、次に通りかかった者そいつを襲い
財布を奪う!!)」




「ケホッ、ケホッ…!」

敦「!!」


咳込む音がした
その方を向くと黒髪の女の子が河川敷の橋の下
に横たわっていた。
今の今迄気づかなかった…



い、行くんだ中島敦!
生きる為、勇気を持って1歩を踏み出せ!!
たとえ相手が女の子でも…

心を鬼にして!!!

敦「あ、あのっ!」

「ケホッ…何でしょうか?」

敦「さっ、財布を出せ!!」


「……………」


____________…

_______…

___…

_…




敦「さっ、財布を出せ!!」

「……………」





少女は人目見て分かった。
目の前にいる痩せ細った彼が
お腹を空かせてる事。

人であり、一般人から感じないナニカを感じる事。




「……………………」

敦「あ、えっと…」

「…嗚呼、ごめんね?私も手持ちがなくて…
有るとしたら…近くの駄菓子屋さんで買ったナタデココ入の蒟蒻ゼリーぐらいかな?…いる?」

敦「い、いいんですか…?」

「勿論!お茶買ってくるから待っててね。」



「どう?たった二三本だけど少しはお腹の足しになったかな?」

敦「はい!………えっと、名前は…」

「私はA」

敦「僕は敦。Aちゃん、お茶までご馳走してくれて有難う!」

A「いいのいいの。
見た感じ、大変だったんだなぁって…
敦くん、孤児の出…かな?」

敦「あ、はい…。孤児院を追い出されて…行く所も金も何もなくて……
君に会えなかったら今頃盗みに働くか餓死してました…」

A「そう云えばさっきも財布を出せって言ってたね!
じゃあ………」


少女は目を擦った。
そして瞬きをしてもう一度、川を見た
少年は少女の様子を見て振り返った

その先では



人が真っ逆さまで川を流れていた

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作者名:Re-VI@TAN | 作成日時:2018年4月1日 13時

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