【な組】契約が愛に変わるまで【紫】

契約4 〜紫SIDE〜 ページ5

自分の部屋に行き1人になる。

これで俺への縁談は来なくなるし、楽になるな。

契約結婚なんて得なんてあるものだろうかと思っていた時期もあったけど。

「結構便利に使えるんだな」

持ち出した俺もだけどヘマはしないようにしないと。

気を抜くとボロが出かねないし。

俺に好意がない方が契約結婚には相応しい相手。

俺好きな人いないし。

俺に気があればなにかの理由で離縁するときに面倒なことになる。

その点、俺に好意を持ってなければそんなことはないだろう。

むしろあっちは借金と組を立て直せたら離縁してもいいと考えているはずだ。

俺としては縁談の話が面倒だから今のところ離縁のつもりはないけれど。

「なーくーん、今日の仕事やねんけどちょっとええ？」

「あ、ジェルくん！大丈夫だよ」

それにしてもジェルくんには気をつけないと。

ジェルくんは俺の良き相談相手だから俺のことに関しては結構鋭い。

少しでも夫婦らしくない振る舞いをすれば疑問を抱くかもしれない。

部屋の理由もそれらしい理由を付けたし。

「それで、ここはこれを使ったらええと思うんよ」

「最近は往生際が悪い連中もいるからさとみくん連れてったら？」

「え、相手病院送りにならん？」

そん時はそん時じゃない？

夫婦を演じながら仕事も集中。

相手より俺は大変かもね。

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