連れてきたのは…… ページ18
「A……」
公園で楽しそうに遊ぶ子供たちをじっと見つめているAの背中に、オレは小さく囁くように声を掛けた。
……けど、Aからは何の反応もない。
しばらくその場に立ち尽くしているAに、オレは車のドアにもたれながら小さな溜息をついた。
車でやってきたのは、Aが来たいと云っていたこの場所……と云っても、この公園が目的ではない。
ここは、Aが生まれた家が“あった”場所。
今は取り壊されて住宅地の中にある公園と化していたんだ。
Aは知らないと思うけど……彼女の能力を恐れた彼女の両親は、Aを研究所の奴らに引き渡すとすぐにここから引っ越したらしい。
一点を見つめて動かない彼女は、ひょっとしたら思い出しているのかもしれない……自分の家の間取りや様子を……
「A、何見てるの？」
オレはAの傍らに歩み寄ると、ポン、と彼女の頭に手を乗せて彼女が見つめる方向に目を向けてそう云った。
「……ここが玄関でね、真っ直ぐ行くとリビングで……いつもママがご飯作ってて……」
「……うん」
「私は2階に上がって、荷物を置いたらママのお手伝いをよくしてた……」
「うん……」
そう云いながら、ゆっくりと視線だけを動かすAの目には、ひょっとしたら今ここにはない家の中の状況が映ってるのかもしれない……
オレはそんなAの横顔を、何も云わずにただじっと見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠貴 綾(プロフ) - ｻﾏﾕｶさん» ｻﾏﾕｶさん☆コメントありがとうございますm(_ _)m 作家冥利に尽きるお褒めの言葉、とっても嬉しいです☆作品も気に入って頂けて光栄です。プロだなんて、とんでもございません（汗）ただの妄想好きなド素人でございますm(_ _)m (2015年8月12日 12時) (
レス) id: d0cde9af9a (このIDを非表示/違反報告)
ｻﾏﾕｶ(プロフ) - 人物が平面の世界いから飛び出して来ます 物凄く好きな作品です プロですか？ (2015年8月11日 5時) (携帯から) (レス) id: ed0ecec96d (このIDを非表示/違反報告)
ｻﾏﾕｶ(プロフ) - 構成がしっかりしていて (2015年8月11日 5時) (携帯から) (レス) id: ed0ecec96d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃゆう(プロフ) - 綾さま、有難うございます。(^-^)お待ちしていますね。 (2015年7月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 479ac2321d (このIDを非表示/違反報告)
悠貴 綾(プロフ) - ちゃゆうさん» ちゃゆうさん☆いえいえ、私なんてまだまだですよ(^_^;) あ、これからコミューの方へご連絡しますねm(_ _)m (2015年7月7日 20時) (レス) id: d0cde9af9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠貴 綾
| 作成日時：2015年6月27日 0時
