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その紙は今日配られたプリント。
『委員会と係の希望を書いて明日提出してください。決定も明日行います。』
なんて先生が説明していたっけ。
もう一枚生徒向けのプリントがあった。
教室掲示用の自己紹介カード。
カードがあるなら言わなくていいのではと思う。けれど確実に明日ある自己紹介の存在を思い出して
頭を抱えたくなる。
まあいい。とりあえず係と委員会だ。
係は何でもいいから一番上にあった国語係を選んでおいた。
委員会は1年の最初からずっとやってる学級委員。
これで終わりだと思ったらもう1つ記入欄があることに気がついた。
「委員会の志望理由、か。」
はっきり言うと無い。周りに言われて始めて流れで続けていたから。
だけど、このことを書くわけにはいかないことくらいわかっていた。
少し悩んで、“今まで学級委員をやっていてやりがいを感じていたから。”なんてありきたりの事を書いた。
次に自己紹介カード。
好きな教科とか、食べ物とか、アーティストとか、まあよくある項目で。
教科には得意な社会を、食べ物には広く取れる和食を、アーティストには今流行ってるバンドを書いた。
なるべく目立たないように。それが僕のモットー。
学級委員をやっている時点で目立つのは避けられないのだけど、目立たない方がトラブルに巻き込まれなくて済むから。
面倒ことは避けて今まで生きてきたし、これからもその予定だ。
ひと通りやることを終え、暇になった。
今日は特に宿題を出されていないしやることがなくなった。
ベッドに転がってぼーっと過ごす。
ふと、さっきのことが気になった。
学級委員をやりたい理由が無かった自分。それに対してありきたりなことを書いた自分。
どうして僕はそこまでして学級委員にこだわるにかが分からなかった。
考えてみたけど答えは浮かばなくて、気づいたら夢の中だった。
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作者名:アメトリン | 作者ホームページ:http://ametorin.18
作成日時:2024年3月28日 17時