faint light (ページ10)

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♡ ページ10

「今日はかなりええ買い物できたな」
『そうだね...』
「なんや買い忘れでもあったんか？」
『いや、そういうわけじゃないけど』
「今日なんかおかしいで？どないしたん」
『いやおかしいのはあんたの方でしょ！』

いぶかしげな表情をしていた彼が私の答えにぽかんとした顔に変わった。

「え、俺？」
『そうでしょ！なんなの今日』
「どこがおかしかったん？」
『全部！私のこと可愛いとか言ったりコートや私用のマグカップ買ってくれたり...』
「まあたまには素直に言うたらんとなって思っただけやし。それに今日、バレンタインやん？」
『うん？』
「せやから、俺からの本命のプレゼント。ホワイトデーにはそれ着て俺とデートしてや」
『本命？』
「そう。俺、お前のこと好きやから」

突然の告白に思わずフリーズしてしまう。だって、私たちはただの友達で、今日だってただのお出かけだったはずで。

「今日が何の日か気にせずに誘ったと思ってるやろ。俺、お前が誰かに会う予定あったらどないしよって思いながら声かけたんやで」

お前の予定が空いてて安心したんやで、と笑う。返事はホワイトデーでええからと帰ろうとする彼の腕を思わず掴んだ。

「...どないしたん」
『バレンタインって、女の子からチョコあげる日じゃん』
「そうやな」
『私、一応女なんだけど』
「お前のこと女としか見たことないで」
『...じゃあ、チョコ、いる？』
「俺は本命以外受け取らへんで」
『...本命、だよ』

キャパオーバーで顔が見られなくて俯きながら震える手でチョコレートを差し出した。

「なあ、顔見して」

ゆっくりと顔を上げると、優しい笑顔の彼と目が合った。

「俺と付き合うてや」
『...はい』

腕を引かれ、彼の胸に抱きとめられる。自分の心臓と同じくらい激しい鼓動が聞こえてくる。

「...ホワイトデー、期待しといてや」
『え、もうコートもらったよ？』
「あれはバレンタインやもん。チョコレートのお返しはまた別や」
『...そっか、じゃあ私も何か用意するね』
「それは楽しみやなぁ」

私は幸せそうに笑いながら頭を撫でる彼に身を任せながら、1ヶ月先の自分たちへ思いをはせるのだった。