TanakaShowtime ページ18
明日は久々に丸一日のオフや！ちょっと時間は遅いけど泊まり込みで会いに行ったろ！
そう思ったんやけど...
「もう寝てもうたんかな...？」
まあ合鍵あるし、朝起きて俺がおったらびっくりするやろ！
連絡はつかんけどサプライズでおうち訪問や！
起こさないように静かに玄関の扉を開けた。
「しょうちゃんきたで〜」
小声で話しかけるも返事はないし、家の中も真っ暗。
そろりそろりと物音を立てないようにお邪魔する。
「あれ...？」
どの部屋にもいない。残業？お出かけ？...もしかして事件に巻き込まれてる？
不安でいっぱいになりながら必死にぐるぐる歩き回って考えていると机にぶつかってしまい、いろんなものを落としてしまった。
「これは...薬？」
処方箋のパッケージには睡眠薬と書かれている。
嫌な妄想ばかりが頭の中をめぐって吐きそうになる。
そのとき、彼女からの折り返し電話がかかってきた。
「ちょ、今どこおる？！」
彼女から告げられたのは隣駅近くの公園だった。暗くて危ないのでコンビニにでも入って待ってて、と伝えた後全速力で駆け出した。
「おったぁ...」
『あ、しょうちゃん。チキン食べる？』
あまりに軽い返答に拍子抜けしつつ、呼吸を整えた。
「ちょ、それより聞きたいことあんねんけど」
『とりあえずお茶飲みなよ』
「ありがとう...」
お茶を飲んで一息ついてから、彼女に向き直る。
「も〜、なんでこんな時間に一人でこんなところおるん？飲み会帰り？」
『ううん、違うよ』
「ほな、なんでなん？」
『うーん、気がついたらここにいたんだよね』
「え？」
予想外の答えに思わずぽかんとしてしまう。
『あ、口開いてる』
突然口の中にチキンを放り込まれ、慌てて咀嚼する。
「ほほまれひほりれあふいてひあん？」
『なんて？』
「もう！いきなりチキン突っ込むから喋れんかったやんか」
『あは、ごめんごめん』
「ほんで、一人でここまできたん？」
『そうだよ。歩いてたらあの公園にたどり着いたの』
「偶然やったん？」
『そう、偶然』
なんてこったい。今回はたまたま帰れるような距離の場所やからよかったものの、もっと遠くまで無意識に行ってしまったら見つけられないかもしれない。そう思うと怖くなった。
『たまにあるんだよね。ぼーっとしながら無意識のうちに出かけちゃうこと』
「え、今回が初めてちゃうん！？」
『うん。なんかしんどいからどっか行っちゃいたくなるんだよね。その気持ちが抑えきれなくなっちゃってさ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：苺砂糖 | 作成日時：2024年2月10日 22時
