選択肢なんて、いくらでも。【ナカノヒトゲノム】part2

▽53.ミミクリー・マンイーター殲滅 ページ8

「……知らないのかいザッくん。最近は夜道も物騒なんだぜ」


にんまりと笑い、忍霧さんの顎にアンプルを突きつける。


「最近の女子はみんな痴漢防止にマイ・ポイズンを所持している」

「マ、マイポイズン……!?知らなかった。俺は男子校だから……」

「ねーよ!!」

「ひーみんだってこうして武装しているだろう。何事にも用心は必要なのだよ。


ねぇひーみん」


ムー○ン。発音的にも圧倒的にムー○ン感がすごい。ねぇひーみん。こっち向ーいて。

会話内容がこの先頭に入ってこなくなるから本当勘弁してくれ。


「そうですね……自己防衛は大切です」

「テメーらは過剰防衛!!」


すると放送スピーカーがジジッと音を鳴らした。



『ピン・ポン・パン・フェ〜〜〜〜。グットモーニン！パカでございます』


何だ突然。
そのセルフ音声やめて前もあったけどかなりきついんだよ。


『第4ゲーム開始から一夜開けましたね。皆様健勝でなにより』

「「「…………」」」


どの口が言ってんだ、という微妙な空気が流れる。



「おいヒミコお茶!!」
「は、はひっ」

『っ!?わ、我が愛しの伊奈葉様にそのような亭主関白な……羨ましい!!』

「は、歯ぎしり……歯ぎしりが……」
「おいこれ放送切れねェのかい」
「こらえるにゃカイさん」


なんなのあの人ほんと……。怖いのかクールなのか変態なのかわかんないんだけど。


『さて、本日はめでたいお知らせです。リアル実況開始から一週間、なななんと再生数が五百万ビューを達成しました!!ナカノヒトゲノムリアル実況においてこちらは歴代一位の再生スピード。栄えある13番街担当としてワタクシ大変誇らしく……おもっ……ズズッ……ズビーーーーーー』


「……おい。マジ切ろーぜ食事中だっつの」

「大丈夫かあの人……あのアルパカ」


すると忍霧さんが考え込むように口を開いた。


「……『13』番街ということは他にも街があるのか？俺達と同じようにこうして軟禁状態でゲームを……」

『忍霧様。余計な詮索は不要。このステージはタブーに触れた貴殿らへの罰でもあるのです。無実のメンバーを巻き込み今尚危険にさらしている、その事実をお忘れなく』

「……どの口が言ってんでぇ」



言われて確信する。やっぱり私達のせいなんだ。
どうにか取り替えさなくちゃいけない。

……焦りすぎないように。

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