選択肢なんて、いくらでも。【ナカノヒトゲノム】part2

▽49.ミミクリー・マンイーター殲滅 ページ4

重い瞼を開けた。
ぼんやりと映るツタが垂れ下がった天井。周りにも動かないツタだらけで、それ以外存在感を放つものはない。


……やばい。気絶してたのか。
え、どれくらい気絶してたんだろ。結構時間経ってるのかな。

体を起こそうとすると、頭に激しい痛みが走った。


「いッ……！」


くそ痛い。何これかち割れそうなんだけど。雑菌入ったとかじゃないよねまさか。
くっそ、早く皆のとこに行かなきゃいけないのに。
まぁこうなった以上仕方ないか。

立ち上がることを諦め、もう一度ゆっくりと体を倒した。


ああ、痛い。しんどい。こんなとこで死にたくない。


「誰か、助けてくれないかな」


……なんて勝手すぎるか。自業自得だもんね。
あれ、なんでだろう。あの人の姿が浮かぶ。


「……カイさん」


強くてすばやくて機転が利くカイさん。あの人ならこんな状況簡単に抜け出せたのかな。
いや、それ以前にこんなことにならないのか。
助けてもらわなくても自分の身を守れる。

私もそんな風になりたかっ───




「大丈夫かい」


聞き方なれた声。

ゆっくりと視線を上げると、いつも通りのへらりとした笑顔が見えた。


「カイ、さん……」
「大丈夫かい」
「なんでここに……？」
「なんだっていいだろ」


ちょいと失礼するぜ、と肩に手を回しゆっくり私の体を起こす。それだけでも視界が回るこの状況はかなりやばいんだろう。


「あの、すみません。わざわざ来てもらっちゃって」
「いんや別に。それよりその打ち傷早く手当てしたほうがいいぜ」
「……打ち傷？これ、切り傷ですよ。瓦礫で」
「どっちでも同じようなもんでぇ」


……全然同じじゃない気がするけど。どうしたんだろうカイさん。

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