▽46.ミミクリー・マンイーター殲滅 食糧庫 ページ1
はあはあと乱れた息が上がる。
体力が無いなりにでも完全に脱力したアンヤを背負うアカツキは、やっとついた目的の場所の前で足を止めた。
安全地を前にしてただ一つ、気掛かりなことが浮かぶ。
(Aさん、大丈夫でしょうか)
頭から血を流すほどの怪我を負っているのにも関わらず、Aはなぜか自らその場に残ることを選んだ。
どう考えてもあの怪我は早く手当てをしたほうがいい。彼女は一体何を思ったのだろうか。
それは自分が今考えたって無駄なのだろうが心配なものは心配だ。
ずり落ちそうになったアンヤを担ぎ直すと、予想通りの頑丈そうな扉を開いた。
「遅れました〜……」
「おお来たかあっきー……なにかあったのかい?」
食糧庫に入った瞬間、ユズがアカツキ達の様子を見て淡白と問いかけた。
「カリンさんに擬態した植物に襲われて……。それから少ししてアンヤ君が突然倒れたんです」
「擬態?……で、アン坊が、か」
「はい。……それと」
「Aちゃんはどうしたの」
今一番この場にいなければいけないAのことを誰よりも早く訊いたカリン。よほど気にかけていたのだろう。
あきらかに健全じゃないアカツキ達の姿を見てさらにその場の空気は張り付く。
「先に行ってて……って言われました」
「あの怪我で?本人気付いてないみたいだけどかなり重症よ。なんで……」
「わかりません」
「……とにかくアン坊を床に寝かせよう。ここには敷き布団なんてものはない。ひーみん、段ボールを頼んだにゃ」
眉を下げてアカツキ達を見ていたヒミコは、指名されるなりはいと返事をし急いで近くの段ボール箱を崩し始めた。
それを待つ時間には嫌な静けさが来る。
誰も話さない中、感情に押されるようにしびれを切らしたカイコクは口を開いた。
「で、どうすんでぇAちゃん。あの子今相当やべぇぜ」
「ああ。さすがに血は止まっていると思うがあの状態で長くは動けないだろうな」
「入出、Aちゃんとどこで別れた?」
「すぐ近くです。階は違いますけど……」
「そうかい」
一刻も早く彼女を連れてこなければ。かなり危ない橋を渡っている。
ちょっくら行ってくらァ、と悠長な口ぶりのカイコクは、自らの焦る心に気付かないまま扉のほうに足を進めた。
「待ってカイさん。もう少し様子を見よう」
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水野ひのは(プロフ) - 鬼ヶ崎カイコクさん» ふぁえ…!?カイさん!?まさかの次元を越えて遥々ありがとうございます。ご本人登場に驚きで目をかっぴらいたと共に笑っちゃいました。嬉しそうなの可愛いです…。いい刺激を頂いて力みます!長旅お疲れ様でした…。 (2019年8月25日 14時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
鬼ヶ崎カイコク - 俺かっこよすぎじゃねぇか?(嬉しそう) (2019年8月25日 14時) (レス) id: 567b9ad697 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 通行人Mさん» 毎度お早い拝読ありがとうございます。わわ…今度は一息ついて頂けるようこちらも息をおきます。そう言って頂けると私も夢主ちゃんも大歓喜です…!皆ワチャワチャラウンジ大惨事の会でした。ありがとうございます! (2019年8月25日 9時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 更新ありがとうございます!!!鬼退治編も終わり、一息つこうかと思ったところで、ヘアバンド改造。いやぁ、いい物見させて頂きました…。そして心の準備が出来てないうちに作世ちゃんの絵で見事、惚れました…。可愛いがすぎる。皆がワチャワチャしてて面白かったです! (2019年8月25日 9時) (レス) id: b074e68c40 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 通行人Mさん» お陰様でいよいよです…。ほとんど成り行きですが共に行動が多いですね忍霧夢主、鬼ヶ崎ストッパー、和ませ役(爆)ですね。いつも誠にありがとうございます!労って頂けて癒しです…頑張ります! (2019年8月23日 12時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水野ひのは | 作成日時:2019年7月27日 18時