Restorm -5つの光の軌跡- 第3部 (ページ30)

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9-7 翔side ページ30

それから数日後の話

この日は親父が海外出張へ
3人の姉達も公演やら
演奏会へと行っていた

家に残っていたのは
母さん、俺、妹、そして渡辺さんだけ

すると突然
母さんのスマホに着信が入る

母さんがスマホの通話ボタンを押すと
聞き覚えのある声がした

咲葉『あ、華恋さん!お久しぶりです!』

どうやら電話をかけてきたのは
咲葉のようだ

華恋｢あら、咲葉ちゃん?どうしたの?｣

咲葉『華恋さん!一緒に森林へ
ハイキングしませんか?!』

華恋｢ハイキング?｣

咲葉『ええ、確か前に趣味が
ハイキングだって言ってましたよね?』

確かに母さんはハイキングが趣味だ

でも何で咲葉が急に誘うんだろ

怪しい……

｢母さん、それ俺も行っていいかな?
夏休みは学校無いし
暇なのは避けたいから｣

華恋｢そうね、咲葉ちゃん
うちの息子も連れてっていいかな?｣

咲葉『え?翔くんですか?』

突然電話の奥に居る咲葉が
数秒黙った

咲葉『……良いですよ?
翔くんが行きたいなら』

再び咲葉の明るい声が聞こえた

こうして俺は母さんと咲葉と一緒に
森林へハイキングにしに行った

──────────

森の入口

ハイキングコースのスタート時点まで
渡辺さんに車で送って貰うと

そこにはもう咲葉が居た

咲葉｢あ、待ってましたよ華恋さん!｣

華恋｢待たせちゃってごめんね?｣

咲葉｢いえいえ!
それより早く進みましょ?｣

咲葉が妙に俺達を急かせる

その怪しさを疑っていた俺だが
母さんはコースを進もうと
歩き始めていた

｢母さん!｣

俺は叫んで母さんの背中にくっついた

咲葉｢あら、どうしたの急に｣

｢やっぱりハイキングはやめよ?
3人で、3人で別の所行こうよ!｣

慌てる俺を見た母さんは
にこりと微笑み自分の体から俺を離す

華恋｢翔……
心配して言ってくれてるのね
でも、それは出来ないわ｣

｢どうして!?｣

華恋｢咲葉ちゃんがせっかく
誘ってくれたんだから
行かなきゃ悪いでしょ?｣

｢そうだけど……｣

すると母さんは俺に何も言わず
ハイキングコースの入口の中へと
入ってしまった

俺はますます慌てて
その背後を走って追いかけた