9-5 翔side ページ28
2日目の夜
この日は
夏休みの家族旅行の最後の日で
近くで夏祭りも開催されていた
家族それぞれ色んな的屋に回って
思いっきり遊んで
思いっきり楽しんだ
華恋｢翔、ちょっと付き合ってくれる?｣
母さんは
優しそうなふわっとした笑みで
俺をまた手招きする
向かった先は
細い獣道にも見えそうな場所で
そこにはさっきまでの祭りの音が
1つも聞こえない
まさか母さんは
俺を肝試しに誘っているのだろうか?
｢母さん?悪いけど俺は
肝試ししたくないから戻るよ｣
俺はそう告げて
夏祭り会場に戻ろうとした時
母さんが俺の左腕を掴む
華恋｢違うわよ、私はただ
あなたに教えたい場所があるの｣
俺に?一体どういうこと?
俺は疑問を浮かべると
母さんはクスクスと笑い
俺の腕を掴んだまま
ある場所へと目指す
俺はずっと母さんに引っ張られる手を
眺めていた
その掴まれた感覚には覚えがあった
俺が遊園地でみんなとはぐれて
迷子になったあの日
母さんは直ぐ俺を見つけた
しかし母さんは変わっていた
『どこ行ってたのよ』と言いながら
怒ることもなければ
『良かった』と泣き崩れることも無く
俺の腕を掴んで
そしてみんなの元へと戻る
その間母さんは感情を出さなかった
ただ俺の手を掴む手が
ちょっと圧力が強く少し痛くて
ああ、心の中では
心配してるんだなと思った
この夏祭りで腕を掴まれた時もそうだ
母さんはその後無口になり
昨日少々雨が降った後だからだろう
土を踏むと
ちょっと粘着質のある音が鳴り
日暮も鳴いていた
辺りは暗く木が生い茂っている
それでも母さんは
ただただ目的の場所へ
道無き道を辿り、俺を連れていく
ラッキーナンバー
8
ラッキー嵐メンバー＋ドラマキャラ
深山大翔（99.9）
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作者名：LiMe | 作成日時：2019年5月18日 18時
