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彼岸の花嫁 ページ3

花子くんですらない



妖様に嫁ぐということは、この家では名誉なことであり代々受け継がれてきた伝統を守ったと言える。
…なんて建前は置いて、好きでもない人間でもない会ったこともない人と無理矢理結婚させられる人生に自ら涙するのも、仕方ないことだろう。

別に好きな人も彼氏もいないけれど、でも、普通の人生を夢見ることも間違いではないし、人の子として平等に与えられた権利であるはずだ。

然しながら家の縛りに囚われ 尚親の言いなりだなんて、私は前世も今生も最悪というわけか。
それとも前世はいい思いをしすぎたか?


閑話休題。

旦那様となったのはなにやらとんでもない妖らしい。らしい、というのは親から与えられた情報を一切聞いていなかったからだ。

妖という時点で期待などしていない。せめて人の形をしていれば許容点か、化物のような姿の旦那様などごめんだ。いや本当に。



「A」


「はい、」



親に呼ばれ、その場を立つ。
着慣れない重たい白無垢のような着物、いつもは下ろしている髪も綺麗に結って。
おばあ様からいただいた紅を目尻に、その他の化粧を施したのはお母様だ。

これが現実じゃなくて夢なら楽しめたかな。現実逃避したって変わらない事実に涙が出そうだ。


連れて来られた客間の前で正座し、頭を深く下げる。こんな作法も幼い頃から詰め込められていた。今思うとこのためだったなんて、望んでもない教育をありがとう。



「妖さま、Aです」


「…来たね。どうぞ」



失礼します、と言いながらまだ顔を下げたまま襖を開ける。ぴしゃりと閉め、やっと顔を上げた。

七と書かれた布面。
僅かに見える黒髪。
学生服、杖代…あと、何処が幼く見える。



「君がAね」


「はい、黒崎Aと申します」



そんな堅くなくていいよ。
そう言う妖様だが、いつ親が来るかもわからない状況で適当になどできるはずもなく。
失礼ですので、なんて苦笑いをこぼす。



「俺は君の本当の姿が知りたいんだけどなあ」


「と、申されますと…?」


「昔から憑いてたからね、小さいときから知ってるよ?」



それは初耳だなあ。

返す言葉が思いつかず、にこにこと笑ったままな私に妖様も困ったように笑う。
そりゃあ昔から奇々怪々な出来事だって多かったけれど、まさか未来の旦那様にやられてるなんて思わない。

さてどうしようか。
考える私とは裏腹に、楽しそうな妖様は。



「ほんとはこんな結婚嫌がってることも、ね」

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- まめさん» ありがとうございます。好きと言ってもらえて嬉しいです。ミッドナイトは実は私も気に入ってるので嬉しいです。笑 引き続きよろしくお願い致します。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 初コメ失礼します! ほんとにこの作品すこです、、ミッドナイト・メランコリックがほんとにすここです!更新頑張って下さい! (2020年2月8日 21時) (レス) id: a5d55e68a9 (このIDを非表示/違反報告)
- みどりさん» 好きと言ってくださっただけでもとても嬉しいです。引き続きよろしくお願い致します。 (2020年1月30日 11時) (レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
- すばるさん» 神秘的…初めて言われました。とても嬉しいです。引き続きよろしくお願い致します。 (2020年1月30日 11時) (レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
みどり - やだ好き(´∀`*)ポッ←簡潔にまとめました( ー`дー´)キリッ(簡潔にまとめすぎた) (2020年1月29日 22時) (レス) id: ae6be26781 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月24日 19時

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