朱に染まる ページ1
．
｢あれ、クロサキ｣
そんな声に振り向く。
保健室帰り、教室へと向かえば花子くんがふよふよと浮いていた。
やっほー、と笑う花子くん、辺りを見回して誰もいないことを確認してから私もどうしたの、と返す。
さすがに虚空に向かって尋ねる自分の姿は見たくない。寧々ちゃんがいるわけでもない放課後以外の時間はこうして学校内を彷徨いているのだろうか。
｢もっけが盗んだものを探しててね…クロサキは？授業中じゃん｣
｢保健室にいて。早退しようかなあと思って荷物取りに行くとこ｣
悪い生徒だ〜、とイタズラっ子のように笑う花子くんに思わず目線を逸らす。人の気も知らないで、そうやって。
悪い生徒であることは否定しないけど、学校に行くようになっただけ褒めてほしいものだ。…まあ、彼に会いに行くというのが最大の目的になっているのだけど。
｢ふうん、じゃあクロサキは放課後来ないんだね｣
｢…まあ、そうだね｣
そっかー。
それだけしか言わない花子くんに、少しだけ、ほんの少しだけムカついた。これがきっと寧々ちゃんなら寂しいだの帰らないでだの言いそうなのに、と。
我ながら子供らしい嫉妬の仕方だとは思う。でも好きなんだから、そんなこと気にしていられない。
｢さ、寂しい…？｣
意を決して、そう問う。
さすがに顔は見れなかったし、きっと顔は真っ赤だろう。それでもやっぱり、聞きたかった。聞いた結果がほしい言葉じゃなかったとしても。
少しの沈黙。ちら、と花子くんを見ればぽかんとしていて。ああ、やってしまったと後悔する。
私は寧々ちゃんのように縁を結んだわけでも、正式なカンナギ…助手でもない。そんな私が彼にこんなこと聞いたって、無意味だろう。
｢あはは、クロサキがそんなこと言うなんて｣
玉砕。やっぱり聞かなきゃよかった！
すべてを無視して彼の横を通り抜けようとすれば、行く手を阻まれ、ギュッと、抱きしめられる。
｢へ、｣
｢寂しいよ｣
言わずもがな、その相手は花子くんで。何度も見てきた光景を、今、私がされている。
じわりと視界が滲んで、溢れて。
でもそんなの悟られたくないから、彼の肩に顔を埋める。ぽんぽん、と赤子のようにあやされ、なんだかもう、どうでもよくなった。
｢クロサキは甘えただね｣
｢…うるさい｣
｢かわいいよ｣
思わせぶりなことばっかり。それでも嫌にならない自分に、余計に腹が立った。
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蓮 - まめさん» ありがとうございます。好きと言ってもらえて嬉しいです。ミッドナイトは実は私も気に入ってるので嬉しいです。笑 引き続きよろしくお願い致します。 (2020年2月12日 0時) (
レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 初コメ失礼します！ ほんとにこの作品すこです、、ミッドナイト・メランコリックがほんとにすここです！更新頑張って下さい！ (2020年2月8日 21時) (レス) id: a5d55e68a9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - みどりさん» 好きと言ってくださっただけでもとても嬉しいです。引き続きよろしくお願い致します。 (2020年1月30日 11時) (レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - すばるさん» 神秘的…初めて言われました。とても嬉しいです。引き続きよろしくお願い致します。 (2020年1月30日 11時) (レス) id: 85c52fd00e (このIDを非表示/違反報告)
みどり - やだ好き(´∀｀*)ﾎﾟｯ←簡潔にまとめました( ｰ`дｰ´)ｷﾘｯ(簡潔にまとめすぎた) (2020年1月29日 22時) (レス) id: ae6be26781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓮 | 作成日時：2020年1月24日 19時
