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13. チャンスは物にせよ ページ13






「A!」


思わず駆け寄りじっと見てしまう。
変わらない、寧ろ少し綺麗になったんじゃないかと思うほどだ。


「はしゃぎすぎだよ、玲王。 あ、はいこれ。今日の着替え。私が選んだんだ。」


そう言われて手渡された服を見て内心ガッツポーズする。他の誰でもないAが選んでくれたコーディネート。好きな人にコーディネートして貰えるなんて喜ばないわけが無い。


「ありがと!着替えて来るっ」


笑顔でその場を離れ言われた着替えの場所まで向かう。

はやく、はやく着替えて。少しでもあいつと一緒にいたい。




___俺がそう思う一方で、Aは絵心と別件の話をしていたのだった。








Aside


「絵心さん。」


「ん?なんだ。」


「どうして、あの時。入口で私以外の子達を落としたんですか」



私は知りたかった。
あの日、私以外にもマネージャーとして呼ばれた子は何人かいた。だけど、マネージャーの子達が通ろうとしたらこの人の声が聞こえた。


「師走A。おまえのみこの先を進め。それ以外の奴らはとっとと去れ。ロックオフ」


と。
私は言われた通り迷わず先へと進んだが、何故他の子達はダメだったのか、理由は教えられてない。
だから知りたかった。その子たちのためにも、頑張りたいから。


「理由。そうだな、強いて言うならおまえ以外の人間は目的が違った」


「……?」


「エゴイストを作り上げるこの監獄の中で、それ以外の理由で浮かれている人間は不要だ」


「あぁ、……なるほど。」



____恋心は捨てろ。 そう言いたいのか、この人は。現を抜かすな、と。

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作者名:刹那 | 作成日時:2022年12月27日 15時

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