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白い雪の上に小さな靴の跡をつけ
転びそうになりながら少女は家へと走った
お腹が大きくなり始めてるからお母さんは
家事をするのがとても大変なんだって
お父さんはお仕事があるから手伝えないから
私が代わりに手伝うって言ったの
「女の子かな〜男の子かな〜」
そんなことを考えるとスキップをしたくなった
すると白い雪と同化するように
冬には珍しく一輪の花が咲いていた
「わぁ！綺麗！
お母さんに見せたいなぁ〜
そうだわ！根っこから抜けばおうちで育てれるわ！」
道端に駆け寄りそっと根から引き抜いた
きっと綺麗だねって言ってくれる
「弟でも妹でも私がお世話をして
お母さんとお父さんの助けになるの！
…あっ！そうか！
私の使命は人を助けることなのねっ！」
兄弟ができるのがよほど楽しみなのだろう
スキップをしていた足は駆け足へと変わっていった
────
「ただいまー！」
頭に乗った雪をはらい掛けていた布をフックにかける
「あれ？」
…おかしい
いつも絶対玄関まで来ておかえりと言ってくれるのに
「あぁ、そうか！まだ寝ているのね」
そう考え寝室へと向かった
「お母さん、起きて！もう朝…よ……………え…？」
少女は目を見張った
そこには大好きなお母さんとお父さんが抱き合うようにして地面に倒れていた
真っ赤な血溜まりの上で
持っていた花は手からすり抜け
真っ白だった花は赤く染まった
「……嘘だ嘘だ嘘だ！…え、え？…どうして…？
うそ……え？
ね、ねぇ、お母さん！！お父さん！！
ねぇってば！！！！起きてよ！！！！！！」
数十歳の幼子には過酷すぎる現実
家族の平和な未来に想いを馳せ
穏やかな気持ちだった先ほどとは一変し
救いようもない地獄へと叩きつけられた
…それからのことはよく覚えてない
村の人から聞いた話では
私はひどく混乱していたようで
泣きながら必死で助けを求めていたようだ
助けに家に飛び込んだあとは
何か小声でぶつぶつと言っていたらしい
────
「…どうしてなの？神様…
どうしてみんないなくなっちゃったの？
いっぱいいっぱいお祈りもした
お手伝いもいっぱいしたわ…」
……
「お母さんとお父さんは神様が助けてくれるって
導いてくれるって言ってた…」
……
あぁ…
そうか
まだまだ足りなかったのね…
ママも…パパも…下の子が死んじゃったのは
「私がいけなかったんだ」
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作者名：ノラねこれれん | 作成日時：2020年8月23日 3時
