検索窓
今日:12 hit、昨日:10 hit、合計:777,846 hit

捌ノ壱 幸せとは ページ33

【そうしてまた、ひとつ】


「俺にもう勝機はないか……」



だが、相討ちならば。役に立たない感覚をあえて自ら断ち、全てをかける。



すまない、A……。



君はこの時代を生きて、



そして幸せを______



「いくぞ!」



力を籠めて、駆け出した。大きく刀を振り上げる。全集中の呼吸を使おうか。瞳を瞑り、呼吸に集中しようとしたその時。

気付く。



瞳を開く。



これは_____



____この香りは…



白梅…香______



今、何を斬りつけた?



袈裟斬りにしようと、斜めに刀を振るった。



視界には、血が吹き出している。



これは、誰の血だ?



見慣れた艶やかな髪だ。



腰までの長い髪が、舞っている。



雪のように白い肌だ。



いつも綺麗だと思っていた。



この香りは白梅香だ。



大好きなAの香りだ。



華奢な肩から鮮血が飛び散っている。



支えてくれた肩だ。



その肩の向こうに見えるのは、上弦の参。



短刀を首に刺され、歪んだ表情をしている。



大きく飛び退こうとしている。



再生にかなり時間がかかりそうだ。



いや、そんなことよりも。



鬼に一撃を喰らわせたのは誰だ?



俺か?



違う。



俺は短刀じゃない。



あれは。



あれはAにお館様が授けたもの。



どうして、彼女の短刀が?



まず、俺の前には上弦の参がいるはず。



なのに、どうして。



目の前の後ろ姿の、奥に彼奴がいる?



違う。



その前に、この背中は誰のだ。



この香りは誰のだ。



目の前にいるのは誰だ?



俺が斬りつけたのは



誰なんだ______。



本当は分かっている。



理解したくないだけ。



この鮮血は



俺が斬ったのは






Aだ_______

捌ノ弐 幸せとは→←漆ノ参 かつて大切だったもの



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (717 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1383人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユリ(プロフ) - 出来ればでいいんですが、後日談的なものがみたいです (2020年8月26日 18時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - ユリさん» 最後まで読んで下さり、本当にありがとう御座いました。またこの作品に顔を出してもらえると嬉しいです。 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 353512f049 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後まで感動しっぱなしでした (2020年3月2日 11時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - アリスさん» 毎度毎度、遅くて申し訳ないです!!最近、スランプ中でして……。どうにか必死に更新をしたいと思います……!! (2020年2月23日 10時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 続きがものすごく気になってそわそわして寝られません。更新頑張ってください (2020年2月21日 22時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:セニオリス | 作成日時:2019年7月8日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。