肆ノ弐 最後に見た姿 ページ20
【鬼を滅することが】
『藤襲山、ですか』
「あぁ!とても美しい藤の花が狂い咲いているのだ!鬼も寄り付かない!」
『最終選別は鬼を狩るのでは……?』
「うむ、だから藤の牢獄に閉じ込められた鬼は、新しい隊士の糧となるという仕組みだ」
『そうなんですね』
Aは読み書きをしたまま眠ってしまった千寿郎に布団を掛けながら、杏寿郎に頷いた。随分とまぁ、良くできた仕組みだ。
任務に挑む前日前夜。鬼殺隊について、あまりにも知識が浅いので杏寿郎がAに教えることになったのだ。
「美しい景色だが、試験は命懸けだった」
『藤の花、ですか……』
「むう?」
『いえ、そんなに杏寿郎さんが美しいと仰るので。どのようなところなのかな、と』
「本当に大輪に咲いているのだ。しかも、一年中!本当に素晴らしいぞ!」
藤襲山には、美しい藤の花が狂い咲いている。だから、その中に鬼を閉じ込めることで、鬼にとって絶対的な牢獄になるのだ。
それを上手く活用して、最終選別にうってつけな場所にした。訪れた時の印象と、中身は全くの反対。過酷な現実である。
だが、始めに美しい印象を与えた藤だけは、終わりも原点と同じように鬼から身を守り、優しく迎え入れてくれる。
紫色の花弁を散らす藤たちは無邪気だ。鬼から忌み嫌われているに対し、人間からはお守りとして身に付けている人もいるぐらいだ。
『……ねぇ、杏寿郎さん』
「何だ?」
『この任務が終わったら、藤襲山に連れていってくださいませんか?』
「別に構わないが……。何故?」
『……ほんの少しの我が儘ですよ』
もし、この願いが叶うなら____。
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ユリ(プロフ) - 出来ればでいいんですが、後日談的なものがみたいです (2020年8月26日 18時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - ユリさん» 最後まで読んで下さり、本当にありがとう御座いました。またこの作品に顔を出してもらえると嬉しいです。 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 353512f049 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後まで感動しっぱなしでした (2020年3月2日 11時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - アリスさん» 毎度毎度、遅くて申し訳ないです!!最近、スランプ中でして……。どうにか必死に更新をしたいと思います……!! (2020年2月23日 10時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 続きがものすごく気になってそわそわして寝られません。更新頑張ってください (2020年2月21日 22時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年7月8日 14時