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3『あの…先輩』
「どうしたの？」
私は手を止めて、稜雅くんを見ると
稜雅くんは真っ直ぐこちらを見ていた
その瞳に思わず呑まれそうになる
3『好き…』
好き？
3『ってなんですか？』
「へっ？」
稜雅くんはゆっくりとたどたどしくはなしてくれた
3『高校一年生になっても好きって気持ちがわからないんす。みんな恋してて俺だけなのかなって焦って…』
「いやいや、まだ高校一年生だよ？別にわからなくても焦る必要ないと思うんだけど」
3『ならいいんですけど』
いつもは少しふざけた感じの稜雅くんが、俯いて少しつらそうに話している
そうとう悩んできたのだろう
「それに好きって気持ちは言葉で説明出来るものじゃないからさ」
3『A先輩は恋したことあるんですか？』
「うん。だいぶ前だけど1度だけ」
3『幸せじゃなかったんすか？なんか複雑そうな顔してますけど…』
私は過去の初恋を少し思い出した
ずっと記憶の底にしまっていたものを
「幸せだったけど、辛かったかな」
3『そういう恋もあるんすね…』
恋は十人十色だから、一人一人経験してきたもの、感じるものが違うだろう
3『A先輩。俺に好きを教えてくれませんか？』
「はい！？」
好きを教える…？
3『恋を、好きを知ってる先輩なら俺に教えてくれるんじゃないかなって。俺だって知りたいんです！！』
食い気味に私の元まで詰め寄ってくる稜雅くんを慌てて止める
「いや、ちょっと待って？さっきも言ったけど教えられるもんじゃないって！」
3『でも、拓弥と太陽を呪縛から解き放ってくれた先輩なら…』
「うーん…教えることは出来ないけど、協力はするよ」
こんなに頼まれてなにもしないのは、、ね？
3『ありがとうございます』
「とりあえず稜雅くんは、人ともっと積極的に関わるべきだと思う。こんなにも魅力的な人なんだからさ？」
3『む、無理…俺コミ障なんすよ…それに魅力なんて無い…』
「自信持てばいいのに…とりあえず目を合わせるところから頑張ろうね？」
3『はい…』
2人きりの生徒会室で、2人だけの特訓が始まった
好きを教えることなんて出来るのだろうか…？
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作者名：蓮華 | 作成日時：2020年6月20日 17時
