冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ8)

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8love ページ8

「………かっこいい…」

教室の窓際の席から見えるグラウンドで
人並みをうまく避けながらゴールを決める拓弥先輩。

　先生が休憩の合図を取ると一斉に散らばる人達。

頬から首までに流れた汗が太陽にキラキラと
反射して拓弥先輩が眩しい。

見つめていたいけど、見つめられないような輝き……。

真美「………ほんと、かっこいいね。」

「うわっ！真美っ！」

後ろからちょっとからかうような
声で笑いかける声が聞こえて振り返ると

物凄い笑顔で私を見ていた。

真美「折角、知り合えたんでしょ？もっと積極的にならなきゃ。

　ラインだって交換したんだし、チャンスじゃんっ！」

「………いや、でも…かっこいいとは思うけど、別に好きとかじゃないし……

　

………………えっ？」

好きじゃない、ただ見ているだけ、たまたま出会っただけだと
自分に言い聞かせようとしてたら自然と

拓弥先輩の方に目線が行っていた。

そして、拓弥先輩をこの目でしっかり捉えると
びっくりする光景が待っていた。

　

…………拓弥先輩が、こっち……、見てる…。

　
えっ。どうしたらいいのっ？！

私、何を？

　

ペコッ

とにかく思いついたのはお辞儀をすることだけだった。
そして、ゆっくり顔をあげていってまた目線を合わせた。

………すると、

「…百瀬っ。｣

「………はいっ！」

グラウンドから私の名前を呼んで

　
………私に背を向けて、手だけを少し振りながら戻って行った。

「……その思わせぶりな態度。」

やっぱり、拓弥先輩は上げて、落とす事が得意だ。

そして、さりげなく塩で、ツンデレで
それも一つの魅力なのかもしれない。

　
私は、その魅力がよくわかる。

　

真美「…ほら、今の、どう思った？」

「………嬉しかった…、」

真美「そう。まだ、そんなにすぐ答は出さなくていいよ？

　 …………いつになっても構わないから。

　

　
……その変わり、いつか、ちゃんと自分の気持ちに素直になってね。」

　
そう言いながら私の頭を軽く撫でてくれた。
真美は、優しい。

　

私も既に気づいてるはずなんだ。

　

でも今はまだ気付かない振りをして
拓弥先輩を少しずつ知りたい。

　

そういう私の気持ちを見透かしてるのかも知れない。