冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ5)

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「……あ、あの、ありがとうございましたっ…！」

「ん、別に。」

そういう彼の手と私の手はまだ繋がれたまま。
……なんか、恥ずかしいかも…。

「……お、お名前、…伺っても……」

「…何、気になんの？」

えっ？！…何？！

この人超ストレート何ですけどっ！？

「……いや、まぁ………はい。一応、知っておいた方がいいかと…」

「…………ふーん。…草川拓弥、…三年」

私が必死に説明をすると、
……まぁ、納得。みたいな顔してさりげなく自己紹介してくれた。

くさかわ……たくや…
先輩だ、しかも………………二つも。

そう考えてたら……お前は？とでも言うように
腕を組みながら目線をこっちに向けて来る。

「……百瀬A…です。……一年です。」

は？お前一年？って顔をして見てくる拓弥先輩。
いや、怖いよ。今日初めて会ってからずっとこの顔。

「……へぇー、百瀬…A………ねぇ…」

としみじみと意味ありげにそう
呟く拓弥先輩。

その顔もどことなくだけど…かっこいい………かな。

「……あのっ、先輩、」

「……何。」

「…………手…、」

私がそう恥ずかしい気持ちと言いずらさから

俯きがちに胸の心拍数を妙にあげて小声で言った。

私の声に拓弥先輩は手の方へゆっくり視線を落として
あの星屑が詰まったような綺麗な瞳を大きく見開いて

パッ…と手を離した。

温もりが一瞬で消えた手の平が

悲しく、名残惜しく感じる。

「……っ…、…ごめん」

「………いえ、…………ん？」

　

拓弥先輩、………もしかして…

　

……照れてる？

さっきまで私と繋いでいた左手で口元を
隠して目を泳がせて耳まで紅潮させている。

「……見てんな…っ、」

必死に抵抗しようとするその姿も照れている事から

どうしようもなく………可愛く見えてしまった。