冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ37)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:103,791 hit

36love ページ37

「………はぁはぁはぁ、…っ、…」

　
何……あれ…。

　
私は何を見せられたの………？

　
見たくもないのにどうしても目がそっちに行って
どうしようもなく目が離せなくなる。

…初めてだ……こんな胸の痛みは………。

　
　
ただただ胸が痛い。苦しい。
　
　
あの二人を見た瞬間、胸の奥が物凄い音を立てて

…ドクッと波打つのが分かった。

　

その音は凄く低くて鈍い、心臓が締め付けられる…
そんな風に感じた。

　

でも、その二人を見ていて目が合うときっと、

　
　

……負けた気がして、自分がどうしようもなく虚しくなって…。

　

こんな想い、したことない。

　

……そして、二度としたくない。

　

　
脈が大きく打つのと同時にこめかみが熱くなって
私の視界をぼやけさせる。

　

周りが滲んで見えて、その景色さえ悲しく染まっている。

　

溜め込んだ涙の滴は、堪える私の気持ちなんか効かないで
あっという間に頬に流れて行った。

　

瞳を閉じなくても止まることなく、

……一粒、また一粒……涙が伝っていく。

　
…私を煽るかのように……。

周りの音、全てが私を消そうとしている様にさえ聞こえて
咄嗟に耳を塞いだ。

　

でも、

　

指の間の小さな隙間から聞こえた、悲しい音。

　

『葵先輩と、草川先輩って付き合ってるのかな～』

『いや、違うっぽい。でも、なんか両想いって感じ。』

『分かるかもっ！特に草川先輩が、葵先輩の事大好きそう(笑)』

　
……それなっ～！と

高く笑い合うクラスの女子達。

その言葉に、私は声も出なくなった。

　

声を必死にだそうとしても、ひゅ…っと喉がかすって
上手く喋れない。