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「…………すぅー、………はぁー。」
大きく深呼吸をして、坂道を思わずスキップしそうな
勢いで歩く。
……はじめてのお家………はじめてのマイホームっ！！
ずっと実家暮らしだった私の念願のひとり暮らし。
何ヶ月も前からそわそわしてたくらい楽しみで、嬉しくて…。
…………だったのに……、
ﾊﾞﾝｯ
「…………はぁっ！？どういう事ですかっ！？……家がないって！！！」
大家「……まぁ、まぁ、そんなに声を荒立てないで」
いやいやいや、この状況で落ち着いてる人の方がおかしいでしょ。
「真面目に。どういう事何ですか？」
大家「実はね、もともと建っていたあなたの買ったマンションが
ここ最近、もろくなってきてたみたいで………。このままだと、住んでる人で怪我人が出るかもってね。
それで、二週間前くらいに、取り壊されちゃったのよ。」
…………取り………、壊された……、
「……じゃあ、私の家はどうなるんですか？支払ったお金は？」
大家「お金のことなら、ちゃんと返済してくれると連絡がついてるわ。
………それで、…そのあなたの家の事なんだけど……………。」
これは、もしや……。
大家「ごめんなさい。手配仕切れなかったわ。」
「………はっ………ｺﾞｸｯ…………そうですか…。分かりました。」
はぁっ！？とまた声を荒げる前に言葉を飲み込んだ。
だって、別にこの人が悪いわけじゃないんだから。
………でも、…家、真面目にどうしよう………。
親に連絡するのが無難だけど、私の親厳しいから買ったマンションがないなんて言ったら、
物凄く怒鳴られることが目に見えてる。
………かと言って、誰かの家に行く当てもなく…。
私、これから野宿？……ホームレス？
ボサボサの頭で、ボロボロの臭い服で皆に嫌な目で見られるの……？
………だぁーっ、……人生終わりだぁ………。
大家「ねぇ、あなた。」
「………はぃ。何ですか？」
大家「そういえば、お向かいのマンションに住んでる子でね、
私の親戚のお友達が居るの。もしかしたら、同居させて貰えるかもしれないわ。
……なにもしてあげられなくて、ごめんねぇ。おばちゃん、もう歳でねぇ。」
「本当ですかっ！？ありがとうございますっ！！大家さんっ、感謝しますっ！！」
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作者名：れんちゃむ | 作成日時：2017年11月23日 21時
