救猫館者 (ページ7)

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夜の真実3 ページ7

彼「Aさん、ちょっとこっち来て…」

A「わっ、」

再び、腕を引かれ、次に連れていかれた先は、

A「え、これって…？」

目の前に広がるのは、広いお花畑。その真ん中に立つのは、金色でハート型をしている大きなベルだった。

彼「僕、Aさんと一緒に、これを見たかったんだ。このベルの真下で見つめあった恋人達は、一生幸せに暮らせるって聞いて。
…君は、可愛いから！誰にも取られたくないんだ。重いかな。やっぱり。気持ち悪い？」

真っ直ぐ、それでいて必死に訴える彼。
…気持ち悪いなんて、思うわけがない。
少々気は早いとは思うが。嫌な、訳が無い。
だって彼は、私の事、好いてくれる人。
私の、彼氏なんだから。

日も暮れてきた。
オレンジ色の空が金のベルを照らして、眩しくて。

A「……素敵。ねえ、とっても素敵じゃん。私、嬉しいよ。そんな風に思ってくれたの？
どうして、私なんか、好きになってくれたの？」

彼「Aさんは、僕に勇気をくれた人だよ。いつも、Aさんの笑顔に、僕は励まされてたんだよ。だから、自分を卑下しないで？貴女はとっても素敵な人だよ。」

ベルの下で見つめ合う二人。幸せな二人。
未だ熱を放つ、この感情は。

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A「あ〜、楽しかった。」

彼「それはよかった。」

もう真っ暗な夜道。家は少し遠いのに、彼は私を送ってくれるらしい。
歩幅を合わせられたり、家族へのお土産を持っていてくれたり、なんだか、くすぐったい１日なのだ。

彼「可愛かったなぁ、お化け屋敷の後。僕の胸元で、すごく安心した顔して。」

…今更になって、恥ずかしいことを蒸し返してくるなよぅ。
少しむっとしてそっぽを向く私に、彼はまた笑いかけた。

もうそろそろ、家に着く。楽しかった１日の終わりが見えて、切ない気持ちでいっぱいになる。
それと同時に、いつもはない感情。昼間から続くこの感じは、、、。

別れるのが惜しくて入った公園。
人気がなくて、静かな公園。
不意に、二人の視線は重なる。

彼は、荷物をそっとベンチに下ろして、近づいてくる。
私は何も出来ず、少し冷たくなった腕を小さくさするのが精一杯だった。

街灯の薄明かりの照らす中、ついに二人の影は重なった。

好き。

彼の呟きが、妙に心にすっと落ちて。
重なる柔らかな唇は、恋の味だと気づいた。