出しっ放し ページ26
・
手当たり次第、必要そうなものを国内旅行しか出来なさそうなサイズのキャリーに投げ込んで
潤くんが帰ってくる前に、部屋を出た。
・
泣きながら謝って
傷付けながら好きだの愛してるだの、言いたくない。
同じことは、もう繰り返せない。
・
「….ごめんなさい」
・
ねぇ、きみもきっと同じこと思ってるでしょ？
あたしたちは、0か100しかないもんね。
友達に戻ろうとか、そんな生ぬるいこと言えるほど浅い関係じゃない。
・
きみを引き止められなかった部屋を出て、鉢会わないように願いながら街を出た。
・
どうしてこんな終幕になってしまったのか、どうしても分からない
でも、どんな終幕も正しくないような気がした
・
だらだらと生暖かい幸せを欲してしまった
いつのまにかそれが、どうしようもなく悪い塊になってしまった。
・
もう、どうしようもない。
・
ガラス窓に映った自分の顔があまりにも酷くて
とりあえず逃げた場所
・
「…大野さん」
「え？は？」
「….助けてください」
「ちょっとまって、おまえ顔どうした？」
・
あたしと入れ替わりで働いてる人は営業に行ってるみたいで
お店には大野さんしかいなかった。
・
なにも言えないあたしの手からキャリーを奪って、中に入るように促す
それに従って事務所に入った。
・
「湿布？湿布でいい？」
「….すみません」
「あー、冷やした方がいいかぁ」
・
ビニール袋に氷と水を入れてタオルで包んだものを頬に当ててくれた。
・
あたしはもう一度謝った。
・
「転んだ？」
「….」
「んなわけないよな。やられたか」
「…..」
「….そっか」
・
柔らかい空気に包まれる
その温度が優しくて、また泣けてきた。
・
「あー、なにがあったか聞かなくても分かった」
「….ごめんなさい」
「本当に、バカだね梨田も。彼氏も」
「….」
「こんなことでしか分かり合えないの？」
・
冷やしていた頬が、やっと痛みを感じる
潤くんは…あの部屋に戻って来たかな
・
あたしは、まだ気付いていなかった
あのオルゴールを、出しっぱなしにしてしまったことを。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょん(プロフ) - なんと！二宮先生に拐われるのですね！今後どうなるのか…電車のくだり何となくあたしの中ではこうかな〜てのがあるにはあるんです。共感したので。確認しに行くか迷ってますが、読み進めて明かされるのを待とうかなと☆お家で先生の想いが解き明かされるのか楽しみです (2017年3月2日 23時) (
レス) id: 7a1cfd954b (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - こんばんは〜( 〃▽〃)ますます目が離せなくなってきましたね！強引なニノちゃんにワクワクしつつ、梨田ちゃんが幸せになってほしいなあって思いながら読んでます。潤くんも心配なんだけど、ニノちゃんのお家でどうなるのか〜(/o＼)フフッ展開を楽しみにしてますね。 (2017年3月2日 22時) (レス) id: 6133f4f2c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - わぁ〜こんな強引なのに二宮さんにキュンキュンしちゃってます(笑)( 〃▽〃)二宮さんが素直に気持ちを打ち明けてくれたらきっと梨田ちゃんも嬉しいだろうなぁ…(*´ー｀*)次回も楽しみにしています！ (2017年3月2日 21時) (レス) id: aebdb910e0 (このIDを非表示/違反報告)
かぷこ(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます！私の中で夢わきがほんっとに一番大好きなのですが、感想を見ながらラストを決めているというのを見てコメントしにきました！ラストは切実に二宮くんとくっついてほしいです！これからも楽しみにしてます！ (2017年3月2日 21時) (レス) id: 659ef79542 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 二宮くんとに1票です。楽しみにしてます。 (2017年3月2日 20時) (レス) id: 5397983a9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：.
| 作成日時：2017年2月15日 21時
