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起きたら、二宮さんはいなかった。
ついでに時計は10時をとっくに過ぎていた。
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［ちょっと仕事してくるから待ってて］ってメッセージが来ていたのは9時。
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［いつごろ終わりますか？］って内容に返信が来ないまま11時を回った。
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昨日持ってきたプリーツスカートの色が薄くて、春すぎるかなって悩んだり
髪まで巻いたら笑われちゃうかとか、色んなことを思って支度をしていたら玄関の鍵が開いた。
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「あ、起きてんじゃん」
「ライン見てませんか？」
「あー、見てなかった」
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なにをしに学校へ行ってきたのかは知らないけれど、「先生」の格好をしているから
たぶん生徒に関することをしに行ったのだろう。
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二宮さんが着替えている間に、しっかり巻こうと思っていた髪を毛先だけ丸めた。
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「どこ行くんですか？」
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着替え終わって、スマホの充電器を大事そうに鞄にいれてる横顔に訊く
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「Aちゃんバカだから言っても分からないでしょ」
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心が、ざわついた
あたしは、次にあなたは言うセリフを知っている
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「海が見えるところだよ」
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あの日と、同じだ。
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高校生のとき、流れ星を見たことなかったあたしを
電灯が少ないから、綺麗に星が見える海の見える街に連れて行ってくれた
あの日と、同じだ。
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ぞわぞわって、鳥肌が立つ
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あたしはまだ、気付いてない
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「行くよ」って笑う二宮さんが、二宮さん自身に問いかけていること
あたしを、試していることに。
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
